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一般相対性理論による加速度の分析
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加速度を伴って運動すると慣性力が発生します。アインシュタインの
等価原理によると, 慣性力は重力と等価であるため, 加速度をもつ観測者の
時空は一般相対性理論にしたがいます。その見地に立ち, 加速度をもつ
観測者の時空を一般相対性理論で分析してみました。
分析の結果, 加速する観測者の時空では興味深い現象が計算されました。
しかし, 観測者が実際に「観測する現象」は特殊相対性理論で計算可能である
ことがわかりました。
本レポートは私が学生時代に個人的に手掛け, 書きためていた研究です。
既にその手書きの原稿はなくなっていますが, 思い出しながら
電子ファイル化してみました。むしろ, 当時より充実しているかもしれません。
第1章: 特殊相対性理論
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準備段階として, 特殊相対性理論について解説していきます。
ガリレイ変換から開始し, 光速不変の原理からローレンツ変換などを
手短に説明していきます。
- マクスウェルの方程式はガリレイ変換のもとで相対的でない。
- マイケルソン・モーレーの実験では, 光速に (ガリレイ変換に基づく)
速度加法則が成立しない。
- 光速不変の原理を要請すると, 観測者ごとに時間や長さの尺度が異なる。
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第2章: 慣性系から見た運動
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慣性系から見た世界は特殊相対性理論にしたがいます。
速度合成則や加速度変換則にしたがい, 関係からみた加速度運動する
物体を分析していきます。
- 加速を続けても光速を超えることはできない。
- 光の周波数はドップラ効果を示し, 側方から到来する光は時計の遅れによって
周波数が低くなる。
- 加速度 9.8m/s2 で等加速度運動する物体の1光年背後から
追いかける光は物体に追いつくことができない。
- 運動する物体の固有時間とは, 物体とともに運動する時計の読みに相当する。
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第3章: 加速度系から見た運動 I
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本章では, 加速度運動する観測者から見た世界を分析する。
一般相対性理論を導入する代わりに, 前章で導入した固有時間を
加速度運動する観測者の時計である見地から, 特殊相対性理論のみで
加速度運動する観測者が見るであろう世界を分析する。
- 加速度運動する観測者の時計は, 加速とともに急激に遅れていく
- 加速度5m/s2で運動を持続すると,
20年で100万光年の距離まで到達する。
- 加速度運動する観測者が見る世界は, 背後に事象の地平面があり,
その面を物体は通過できない。
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第4章: 一般相対性理論
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加速度運動する観測者の世界を記述するため, 一般相対性理論を導入します。
本章では, 準備段階として一般相対性理論の一般的な説明をします。
- 等価原理に基づく思考実験によると, 重力場で光の軌跡は曲がる。
- 重力場はアインシュタインの重力場の方程式にしたがう。
- 重力場の方程式の解として, 光でさえ吸い込むブラックホールの存在が
予言される。
- シュワルツシルトブラックホールでは, シュワルツシルトの距離が
事象の地平面となる。前章の事象の地平面と同様の性質をもつ。
- 重力場にいる観測者の時計は遅れる。
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第5章: 加速度運動する観測者の時空
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一般相対性理論を用いて, 等加速度運動する観測者の時空を分析します。
手順として, アインシュタインの重力場の方程式を解き,
時空の計量テンソルを明らかにし, それを足掛かりに物理現象をひも解いていきます。
- 重力場の方程式の解として, 加速度運動する観測者の計量テンソルが
特定できる。
- 加速度場では場所によって拘束が異なり, 光は円軌道を描く。
質量をもつ一般の物体は楕円軌道を描く。
- 加速度場を落下する自由粒子の位置は, 時間とともに双曲線関数で
記述できる。
- 双子のパラドックスが解決。宇宙船から見ると, Uターンする瞬間に
地球の時計が一気に進む。
- 加速度場の時空は, リンドラー座標系で表現できる。
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第6章: 恒星間航行
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前章での結果を利用して, 1500光年だけ隔てたオリオン星雲までの
恒星間航行を計算します。両端の300光年ずつを等加速度で加速と
減速にあて, 残り900光年を等速度運動で巡行する前提で計算していきます。
加速度は 5m/s2で計算します。
- 地球から見ると1503.8年でオリオン星雲まで到達。宇宙船の時計では
27.6年しか経過していない。
- 宇宙船から見ると, 加速時はオリオン星雲の時計が速く進む。
減速時は地球の時計が速く進む。
- 等速度の巡航中は, 特殊相対性理論にしたがい, 宇宙船から見ると,
地球とオリオン星雲の時計はともにゆっくり進む。
- 移動中の宇宙船から見ると, 地球とオリオン星雲の時計は異なる
値を示すが, オリオン星雲で静止すると両者の読みは等しくなっている。
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第7章: 加速度場における不可思議な現象
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計算上, 加速度場で急激に減速 (または加速) すると, 時間の逆行現象が
発生する。時間の逆行は因果律を破綻させる現象である。しかし, この逆行現象は
単に計算過程で導かれる現象であり, 観測されない。観測されなければ
発生していないことと同じである。その結果, 残念なことに, 加速度運動する
観測者が観測する世界は, 特殊相対性理論の範疇でも計算できるという
結論にたどり着く。
- 急停止による時間逆行の発生。
- 計算上の時間逆行であっても, それを観測しなければ発生して
いないことと同じ。
- 異なる点から等間隔で送られてくる時刻情報を受信したとき,
時間逆行は観測されるか?
- 観測される時刻情報に時間逆行は観測されない。
むしろ, 特殊相対性理論におけるドップラ効果で時刻情報が到達する。
そこに加速度場における依存性は含まれない。
- 観測までを考えると, 加速度運動する観測者が観測する物理現象は
特殊相対性理論の範疇で計算できる。
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