英語の人称代名詞といえば、I, you, he, she, it, we, they ですね。 しかも、これだけです。 人称代名詞は同じ名詞を繰り返すのを 避けるために使う言葉、と学校で教わるかもしれません。 ということは、人称代名詞が指す言葉は明確にわかるのでしょうか? では、次の文をみてください。
Sakura | Poor Chelsea. I hope they'll catch the guy soon. かわいそうな千春ちゃん。 犯人が捕まるといいね。 |
Madison | Yeah, but the burglar didn't leave
any clues, not even a fingerprint. ええ、でも泥棒はなんの手がかりも残していませんでしたわ。 指紋だって。 — Trouble at Twin Bells (さくらとパンダのかわいいお店) より |
これは、前の日にさくらちゃんたちが千春 (Chelsea) ちゃんに家に行ったとき、 買ったばかりのパンダのぬいぐるみが消える事件が起き、 そのことを話しているシーンです。 さて、さくらちゃんの台詞にある they は誰を指しているのでしょうか? 前の台詞を見ないとわからない? 実はこの台詞、さくらちゃんが 突然話しかけている文なので、これより前の台詞はありません。 つまり、they が指すものは謎です。
英語では、このように正体不明の they が出てくることがあります。 これは、漠然と 「人」 を意味するときに使います。 (でも、これの例では 「警察の人」 を意味しそうですね。) 日本語では主語を省略するようなときに、 英語では正体不明の they を使うことがあります。 下に例を挙げてみます。
What do they call cherry blossoms in Japanese?
Cherry blossom って日本語ではなんと言いますか?
They speak English and French in Canada.
カナダでは、英語とフランス語が話されています。
Do you think they'll fly Pokémon Jets again this year in
the ANA?
ANA は今年も ポケモン ジェット を飛ばすと思う?
正体不明の they って便利そうでしょ? 英語は日本語ほど、主語を省略できる自由度はありませんが、 この they を使えば、わざわざ主語を考える必要もなくなります。 カッコよく使えるように練習してみてはいかがでしょう。
日常話す日本語で、「友枝という町」 を 「友枝とゆー町」 と発音したり、 「こんにちは」 を 「こんちは」 と発音したり、みたいに口語では 簡略化した発音を使うことが結構あります。 もちろん、英語でも そんな簡略発音がいっぱいあります。 その代表的なものに、 wanna, gonna, gotta があります。 まず、wanna は want to の簡略発音、gonna は going to, そして、gotta は have got to または got a の 簡略発音です。 英語の日常会話で頻繁に使われ、映画でも頻繁に 登場する言い回しです。 もちろん、Cardcaptors でも、たくさん 使われてますよ。
では、wanna を使った例をみてみましょう。 これは、The Cave のエピソードで、千春ちゃん (Chelsea) が さくらちゃん (Sakura) を ビーチバレーに誘うシーンです。
Chelsea | Sakura! Li!
You wanna play beach volleyball? さくらちゃん! 李くん! ビーチバレーやらない? |
Sakura | Coming! あ、やる〜! — The Cave (さくらとこわ〜いきもだめし) より |
最初の台詞は、“Do you want to play beach volleyball?” と 同じ意味です。 クダけた会話では “Wanna play beach volleyball?” のように主語まで省略してしまうこともしょっちゅうです。 主語の省略は 英語にもあるんですよ。
次に、gonna を使った例です。 この例は、The Mysterious Painting のエピソードから、深夜美術館に忍び込んだときに、昼間みた 優希くん (Alex) に 会ったときのシーンです。
Sakura | Alex, were you really gonna slash
that picture? 優希くん、ホントにあの絵を切ろうとしたの? |
Alex | I wasn't gonna slash it! I was just
gonna fix it up. 切ったりするもんか! ぼくは直そうとしたんだ。 — The Mysterious Painting (さくらの怪盗初挑戦) より |
ここにあげた台詞は、未来形とか意志を表す “be going to” が “be gonna” のように簡略化されています。 実は、さらに “I gonna do it.” (= それ やっとくね。) のように be 動詞が省略されたり、 “Gonna do me a favor?” (= お願いを聞いてくれない?) のように主語まで 省略されることもあります。
いよいよ、gotta の説明です。 これはどこでも使います。 まずは、この例。 これは、Double Take のエピソードで、さくらちゃんの そっくりさんが街で悪さをします。 これかクロウカードの仕業だと気づいて、 占いで謎解きをしようとするシーンです。
Sakura | Kero, if my double is a Clow Card,
which one is it? ケロちゃん、あたしのそっくりさんがクロウカードなら、 どのカードなの? |
Kero | That's what we gotta find out. それを見つけなあかんのや。 — Double Take (さくらともう一人のさくら) より |
さらに、gotta には、もう一つ、「〜に違いない」 という意味の must の 代わりに使われることもあります。 Cardcaptors でも、あらゆるところで 使われています。 その一例として、Powers Ploy のエピソードで、パワーの カードが動物園のゾウを威嚇する場面から、ケロちゃんの台詞を抜粋します。
Kero | It's gotta be one of the stronger
Clow Cards that's for sure. これは、絶対に、かなり力の強いクロウカードやな。 間違いないで。 — Power's Ploy (さくらとゾウの力くらべ) より |
この gotta の用法は、“You gotta be kidding.” (= もう、 冗談ばっかり。) みたいなシチュエーションでも使えるので、チェックですよ。
で、今回説明した wanna, gonna, gotta は 便利な表現ですが、あくまでも、発音の仕方です。 会話文を意識しない限り、 きちんと want to と綴らないといけません。 正直なところ、 want to と綴っても、早口で読めば wanna みたいな発音になります。 この サイトに置いてある Cardcaptors 脚本にしても、本当は “wanna” って聞こえるのに、Yuki Neco の気分次第で “want to” と 綴っているのは何カ所もありますよ。 あ、でも、真面目な場所でしゃべる時は 簡略発音をせずに丁寧に発音した方がいいみたいです。
「〜する価値がある」 という意味の worth という単語をうまく 使えますか? 学校では、worth 〜ing で 「〜する価値がある」 って習いますよね。 この worth って形容詞なのに、次にくる言葉が 名詞なのでうまく使うのが難しいですね。 Cardcaptors の中から例文を あげてみます。
Sakura |
If there's a Clow Card behind this I think I'll perhaps
help Maggie out. What do you say, Kero? これがクロウカードのせいだとしたら、 ひょっとすると真樹さんを助けられると思うの。 ケロちゃん、どう思う? |
Kero |
Well, all right. It's worth a shot. よっしゃ、ええやろ。 それは、やってみる価値あるで。 — Trouble at Twin Bells (さくらとパンダとかわいいお店) より |
Terada | All right. Now, each group gets a camera. よし。 じゃ、グループごとにカメラを取りに来て。 |
Boy | OK. はい。 |
Terada | Don't lose them.
Try to show us something unexpected in your photos.
Remember, a picture is worth a thousand words. なくすなよ。 意外なものを写真にとって見せてくれよ。 いいか、写真は言葉 千個くらいの価値があるぞ。 — Power's Ploy (さくらとゾウの力くらべ) より |
worth a look | = 見る価値がある |
worth a view | = (ホームページなどを) 見る価値がある |
worth a visit | = 来る (訪れる) 価値がある |
worth a buy | = 買う価値がある |
worth a day | = 一日つぶす価値がある |
次に、「〜する資格がある」 とか 「〜するのにふさわしい」 という意味の deserve という単語を見てみましょう。 この単語は動詞ですが、 日本語には同等の意味の動詞がないので、使うのが難しいです。 結局、 ふさわしいもの、価値があるものを deserve の目的語にすればよいのですが、 実際の使用例を見てみましょう。
Madison |
But then you went ahead and captured the Thunder Card with
your Shadow Card and proved to Li Showron that you deserve
to be a Cardcaptor, so cheer up, Sakura. でも、さくらちゃんは、シャドウのカードを使って サンダーを捕まえられて、カードキャプターにふさわしいことを 李くんに証明しましたわ。 だから元気をお出しになって。 |
Sakura |
I really want to be good at this, but it's all so new to me. カードをうまく捕まえられるようになりたい。 でも、初めてのことばかりで。 — Double Edged Sword (さくらとふしぎなブローチ) より |
Meilin |
Li does deserve the Card much more than she does! 木之本さんなんかより、そのカードは小狼のものに なるはずなのに! |
Madison |
Wow, looks like that you've got a fan club. あらまあ、李くんには熱烈なファンがいますのね。 — The Movie (劇場版) より |
実は、deserve って、悪い意味の言葉を目的語にすることができます。 例えば、 What did I do to deserve that bad luck? (= そんな不幸に遭うような ことを私はやっただろうか?) という感じになります。って、やっぱり使い方は 難しいですね。
Deserve が出たついでに、「〜する資格がある」 という別の言い方を 紹介します。 口語では what it takes to 不定詞 という 表現をすることがあります。 もちろん、Cardcaptors でも使われていましたよ。
Li |
I knew you couldn't do this. やっぱり、おまえには無理だったんだ。 |
Sakura |
Huh? え? |
Li |
You don't have what it takes to capture the Cards.
You don't have enough power. おまえにはカード集めは無理だ。 力がなさ過ぎる。 |
Kero |
What'd you say, kid?! なんやて、小僧?! — Kero and Sakura's Big Fight (さくらとケロの大げんか) より |
ちょっと使い方が難しいかもしれませんが、簡単な言葉から 練習してみてくださいね。 こんな表現がさらっと喋れるようになると カッコいいですよ。 ^_^
隣の部屋にいる友達から 「ちょっと来て!」 と呼ばれた時の返事 「すぐ行く!」 を英語で言えますか? 実は、日本語と同じように “I'll go.” とか “I'm going!” というのは 間違いなんです。 どう言えばいいかというと、下の例を見てみましょう。
Aiden | Dinner's ready! ご飯ができましたよ〜! |
Sakura | Coming! は〜い! — Mysterious Painting (さくらの怪盗初挑戦!?) より |
Cardcaptors では この coming の使い方が多いです。 この例の ように、「ご飯ができたよ」 とか 「学校に遅れるよ」 と言われると、 さくらちゃん は必ず (I'm) coming! と言います。 ここでは、 「は〜い!」 と訳してますが、もともと 「そっちに行きます」 という 意味です。 日本語とは ちょっと異なり、「行く」 といっても、 話し相手がいる場所に行くときには come を使います。 一方、go は、話し相手とも違う方向に行く時に使います。
また、話し相手と一緒に別の場所に行く時には、go を使ってもよいですが、 come を使うこともあります。 もう少し詳しくいうと、come を 使った場合、「ついて行く」 みたいなニュアンスになると思います。
Eli | Did you say you were going to a craft store? さくらさんたちは手芸屋さんに行かれるんですか? |
Sakura | Yeah, we sure are. うん、そうだよ。 |
Eli | Hey, do you mind if I tag along? 僕もご一緒してよろしいでしょうか? |
Sakura | Of course, why not? もちろん。 |
Li | Then I'm coming, too! お、俺も行くぞ! — A New Set of Wings (さくらと小狼と見えない糸) より |
Come って日本語の 「来る」 とちょっと違うってわかったかと思います。 ちなみに、駅にいる友達から、“You wanna come see me at the station?” (= 今 駅にいるけど来ない?) って電話があって、行きたい場合は どう言いますか? 決して “I'm going.” と言わないようにしましょう。 「これから (別の場所に) 出かけることろ。」 って意味になっちゃいます。 正しくは、I'm coming. ですね。 余談ですが、come を使わない場合は、 “I'll meet you there.” とか “I'll be right there.” という言い方もあります。
「それって ひょっとして 〜 かなぁ?」 のように自信がない話を 切り出すことって時々ありますよね。 そのような言い方を 英語でやってみましょう。 まずは、メイズのカードのエピソードから、 メイズに閉じこめられたさくらちゃんが、出口を見つけようとしている シーンです。
Li | So much for the Fly Card. フライのカードもダメか。 |
Madison | Is it just me, or are we running out
of ideas? ひょっとして、みなさん、考えが尽きてしまいました? |
Meilin |
Nngh! I just have to get one of these amulets! Stupid wall! ったく! あたしは、あのお守りがほしいってのに! こんなカベ! — No Way Out (さくらとすてきな先生) より |
ここで知世ちゃん (Madison) の台詞に注目。 Is it just me or 〜 が 「ひょっとして 〜」 に あたりそうですね。 それでは、例をもう一つ出します。 今度は、「封印されたカード」 の英語版から、夏休みに日本にやってきた 小狼くんと苺鈴ちゃんが学校に来て、それを見た山崎くんのひと言:
Takashi | Hey, is it me or did you get taller, Li? あれ、ひょっとして、李くん 背が伸びた? |
Syaoran | Uh, a little. ああ、ちょっとな。 — The Sealed Card (封印されたカード) より |
やっぱり、Is it me or 〜 って感じで使えそうですね。 多分、 これは “Is it just me who thinks this way?” 「こういうふうに 思うのは私だけ?」 を短くしたものだと思います。 この言い回しは テキストとかで見たことはないのですが、会話の中でちょっと使ってみると 面白いと思います。
ついでに、「気のせい」 は英語で imagination と言います。 これに ついては、サイレントのエピソードに例があります。 これは、 学校の授業で美術館に行った帰り道での会話です。
Madison | You say one of the pictures moved? それって、絵が動いたってことですか? |
Sakura | Mm-hmm. Then everything went absolutely
quiet. It didn't last long, but it really freaked me out.
I wonder if it was my imagination. うん。 それで、まわりが静かになっちゃったんだよ。 そんなに長く続かなかったけど、ホントにコワかったんだから。 でも、気のせいなのかなぁ? |
Madison | Sakura, you're very sensitive to spirits
or things. So tell me, do you think it's you-know-what? さくらちゃんは、霊とかに敏感ですから。 でも、これって アレ じゃありませんか? |
Sakura | Huh? A Clow Card! クロウカード! |
Madison | Mm-hmm. We should go check it out! ええ。 さっそく確かめてみましょ! — The Mysterious Painting (さくらの怪盗初挑戦!?) より |
さくらちゃん (Sakura) の台詞の中に、imagination って言葉が ありますね。 「気のせい」 と言っても Wood Card (木の精??) では ないですよ〜 (おやじギャグ... ^^;) さらに、この会話の中に 面白い言葉があります。 「アレ」 とか 「例のもの」 という意味の you-know-what です。 言わずと知れたもの を婉曲的に 言う時に使えます。 同様に、「例の人」 は you-know-who と なります。 で、噂された人は、“Who, me?” (= 私のこと?) って聞き返せればバッチリです。ついでに、あのハリー・ポッターに 出てくるヴォルデモート... おっと、名を名乗れない 「例の方」 のことも you-know-who と言っていましたね。