さくら高校二年の夏日記

作者: tamu-tamu

第4章: 煩 (わずら) わしき存在

「一緒においで」

気づいたら、見知らぬ世界にいた。廃墟が広がる世界ではなく、超高層建築や、 街中をロボットが歩いているような、現代人の思い描く未来像のような 世界だった。 隣には、あの少年がいた。「ここ、どこ?」 思い切って訊いて見る。 「地球からだいたい100光年離れた星さ。“Expectation-planet”って言うんだけれど…」 少年は、そこで話を止めた。 「とりあえず来て」言われるがままについていった。

着いた先は、何やら研究所のようだった。 なかには、よくわからない薬品や、 沢山の機械が転がっている。 その研究所の奥に、中年の男性がいた。 「パパ、連れてきたよ」 どうやら少年の父親らしかった。 「ようこそ いらっしゃいました。さくらさん」 驚いた。 「何で私の名を…」

「申し遅れました。 私は、此処である研究をしている柏秀 (はくしゅう) と もうします。」 少年の父親は話し始めた。 「実は、私はあなたの曾孫の 曾孫にあたります。」 さくらは驚いた。 「今は、いつですか、」 「西暦で 言えば、2153年。 この星に人類が移り住んでから19年になります。」 さくらは、 少し困惑する。 「今をさかのぼること150年ほど前に、戦争がおきたのです。 過去の 地球だけでの戦争と比べると、兵器も強さを増した戦争が100余年続き、 地球は、只の荒れた台地になってしまったのです。」 間をおいて 再び話をはじめる。

「そこで、われわれ人類は、他の星に移住するほか無くなって しまいました。 そんななか、日本が目をつけたのが、 この“expectation-planet”だったのです。」

「何故戦争になってしまったの…」さくらが問う。

「その原因こそが、“クロウ・カード”だったのです。 あなたが、遊園地で 無のカードを封印したときの一部始終を他の宇宙生物が見ていたのです。 それを 利用しようと考えた宇宙生物が、地球に攻め込んできたのです。 人類も必死に その生命体と戦って、追い払ったものの、激戦ゆえに地球に大きな 爪あとが残ったのです。」

「そうだったんだ。」 さくらは落胆した。

「何も気にしないでいいのです。 戦争を仕掛けてきたのはあいてですから。」

「そこで、家の荷物をひっくり返していたら、家系図が出てきました。 その中で、 唯一カードの主であるあなたをお呼びしたわけです。」 柏秀が言った。

「何故ですか」

「あなたに、そのカードを使ってやっていただきたいことがあるからです。」

「ほえ?」

「このカードを破棄してくださいませんか?」

「...ほえ〜!」


つづく

次回の予告

このカードを破棄して欲しいといった、柏秀博士の意図とは。そして、小狼、知世、 ケロは無事なのか、次回明らかに... なるかもしれません

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