さくら高校二年の夏日記

作者: tamu-tamu

第3章: 羨望の眼差し

一行は、再び歩き始めた。 一度道から外れたので、若干遠回りせざるを 得なくなった。 だが、これこそまさに罠だった。 彼は、どうしても一行を ここの前、月峰神社の前を通さなければならなかった。 ある企みの為に…

そんなここととは露知らず、一行は、神社の前を通りかかった。 そのとき だった。 何かの気配を察知するとともに、突然、目の前に竜巻が現れる。 三人と 一匹はなす術も無く、竜巻に呑まれてしまう。


ふと気づくと、さくらは、暗い建物の中にいた。 壁から床から全てが石で できているので嫌に寒い。 時折、崩れ落ちている石の隙から僅かな光が 差し込んでくる。

「ここ、どこだろう」

彼女は、在るかどうかも解らぬ出口を求め、歩き始めた。 足音が 跫然 (きょうぜん) と響き渡る。 彼女は、歩き続けるしか なかった。 途中で、何かの像を見つけた。 何だろうと思い、近寄ってみると、 何かに自分の足が引っかかった感触を覚えた。とともに、掴まれたようにも 思えた。 しかしほんの一瞬の出来事。 気にとまることも無く再び、歩き出した。

―何かの気配を感じた。 途轍もなく、邪悪な何かだった。 「誰かいるの…」 辺りを 見回すが、何も無いし、誰もいない。 ただ、何かの気配だけは感じた。 次の瞬間、 意識が途絶えた。

気が付いたら、月峰神社の境内にうずくまっていた。 近くに小狼・ケロ・知世の3人が 倒れているのも解った。 しかし、明らかにいつもの月峰神社ではないことに気が 付いた。 慌てて2人と1匹を起こそうとするが、全く反応が無い。そのとき だった。 さくらの目の前に結界のようなものがはられて、前が見えなく なった。 結界が消えたときには、2人と1匹は、すでにいなかったし、 いつもの神社に戻っていた。

「あれ、みんなどこいっちゃったの…小狼くん、知世ちゃん、ケロちゃーん」

彼女の叫びも、2人と1匹には届かなかった。

あれからどれくらい経ったであろうか。 彼女は、未だ動けなかった。 すると、 目の前が赤く染まった。 辺り一面に轟音が響く。 上空を見上げると、 黒っぽくて、速くて、何かをばら撒いている飛行機… 戦闘機が、空一面を 埋め尽くすほど飛んでいる。 焼夷弾をあたりに撒き散らしては、 飛んでいく。 彼女には、いったい何がなんだか解らなくなった。 逃げようと 思ったが辺り一面が火の海と化していた為、逃げられない。 その場にうずく まっていると、さっき現れた少年が再び姿をあらわした。

「一緒においで」さくらに一言、言い放った。
つづく


次回の予告

突然友枝町が、火の海と化してしまった。 何故―そしてあの少年の正体は誰なのか、 第4話で明らかになる… かも。

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