設定変更のお知らせ

今まで山崎君と奈緒子ちゃんについては、友枝町以外の所に住んでいる設定でしたが、 その二人を絡めると、あまりにも話が進行しづらいため、年末のうちに友枝町に帰しました。 その部分の話は省略させていただきますので悪しからず。

(仮) SSダイアリー2005

作: 京成特急for佐倉

第3話 1月3日 2006・開運! 初詣

数万人にも上る海外組の帰国を待つ成田空港。 第一旅客ターミナル到着ロビーでは、 その混雑の中、いつものメンバーが小狼とさくらを待っていた。 夏休み、花火大会の時の 約束 (第2話参照) で、2人はクリスマスの後、すぐに香港へ 行く事になった。 しかし、「みんなで初詣に行こう」 という話が、さくら達チア部の メンバー内で提案され、それが冬休みに友枝町に戻ってきた山崎や奈緒子、 さらには小狼達も巻き込んだ。 結局、3日に帰国する2人とともに、成田空港からも近い 成田山へ初詣に行く事にしたのだ。

奈緒子 「もう飛行機着いたかな?」

美紀 「ゲートから出てくる人が多すぎて分かんない。」

神尾 「...っていうか... 大道寺、例によって…。」

知世 「(ビデオカメラを持って) ええ、題して 『香港で年越しのビッグカップル、帰国!』 ですわ。」

山本 「ちなみに2カメ (携帯のムービー) も準備完了。」

原 「山本、お前は間違いなく拳が落ちるぞ。」

山崎 「あっ! 李くんと木之本さんが来たよ。」

ゲートから出てきたのは、サングラスを掛けて洒落た服を着た 芸能人カップル... ではなく、至って普通の服装の小狼とさくらだった。

山本 「(ワイドショーのアナウンサー風に) えー、今、到着ゲートから、突然彼女を 香港へさらっていった李小狼さんが出てきま...」

ゴンッ (← 小狼のゲンコツがヒットした音)

山本 「〜〜〜っ、痛ぇー。」

小狼 「ったく、年始早々...」

小百合 「お帰りなさい、さくらちゃん。 香港はどうだった?」

さくら 「ただいま〜! すっごく楽しかったよ。 それに暖かかったし。 結構日本って寒いんだね。」

山崎 「まあ、今年の場合は特殊だけどね。 日本海側は大雪だって言うし。」

利佳 「そういえば李くん、いつも一緒にいるあのおひげのおじいさんは?」

小狼 「ああ、偉の事か。向こうで用事があって、7日に戻ってくる。」

千春 「それじゃ、みんなそろったところで行きましょ。」

有希恵 「そうね。」

それから間もなく、彼らは電車に乗り込み、成田山の最寄り 駅・京成成田駅へ向かった。

改札を出て少し歩くと、参道に出た。

小狼 「凄い人だな。」

山崎 「そりゃそうだよ。 『関東三社詣』 と言って、この成田山と、明治神宮と 川崎大師の三つは初詣の定番で、毎年多くの人が訪れるんだ。」

原 「それ、マジ?」

山崎 「うん、本当だよ。」

知世 「ちなみに、この成田山は、歌舞伎の俳優さんやお相撲の力士さんが たくさん訪れるんですわ。」

美紀 「あ! それ節分の時もそうでしょ?」

千春 「そうだよ、私節分の時来た事あるけど、力士の人とかが豆まきしてたよ。」

山本 「まぁ、どっちにしろ俺らが知ってるような人は来ないわな。」

と、ふとさくらがある方向を見て足を止めた。

さくら 「...そうでもないみたいだよ。」

奈緒子 「どうしたの? さくらちゃん。」

さくらが見ている方向を見ると...

容子 「(テレビカメラに向かって) —こちら、成田山・新勝寺は、 初詣に訪れた多くの人々でにぎわっています。」

一同 「......」


容子 「なんだー、さくらちゃん達も来てたんだー!」

数分後、彼らは容子やテレビのスタッフを混ぜ、参道の途中にある お茶屋さんで盛り上がっていた。

さくら 「いつから、リポーターもやるようになったんですか?」

容子 「うん? つい最近。とはいえ、まだ試行段階だけどね。」

利佳 「芸能活動の模索ってことですか。 じゃあ、ドラマの役者 みたいなことも...」

容子 「う〜ん、でもそっちは苦手なのよね... (汗)」

一同 「舞台やリポーターはこなすのに、ドラマの役者が苦手って一体...

マネージャー・菅原貴美子 「容子ちゃん、そろそろ本堂の方へ行く時間よ。」

容子 「あっ、もうそんな時間? 残念ね。 二・三十分ぐらいしかしゃべってないのに... んっ、ちょっと待って... そうだ!」

菅原 「どうしたの?」

容子 「本堂のリポートで、この子達にでてもらうっていうのはどう?」

一同 「えっ?」

菅原 「うーん、知り合いを取材って、何かヤラセっぽくない?」

容子 「大丈夫よ。 そんな事知ってる人なんてそうそういないわよ。 カメラマンにも言ってくるね。」

こんな感じで、あれよあれよという間に彼らのテレビ出演が決定した。

カメラマン 「じゃあ、本堂まで行く途中から撮りましょうか。」

混雑してはいるが、カメラマンの人は慣れた足取りで、カメラを持ちながら 後ろ歩きをしている。 そして、カメラを向けられた彼らはと言うと、

山本: 映りたがりで、前の方を歩き、注意される。
小狼&さくら: カメラを意識しまくってガチガチ。
知世: カメラは気にせず、小狼とさくらを撮影。
その他: こちらもカメラは気にせず、普通にしゃべりながら歩く。

と言うわけで、小狼とさくらを見たカメラマンは

「もうちょっと楽にしていいよ。 あと、出来れば、お互い手ぇ握ってくれるかな?」

さくら 「えっ?」

容子 「つまり、もう少しラブラブな感じに出来たら、画 (え) 的にいいかな〜って。」

小狼 「じゃあ、三原と山崎は?」

容子 「あのカップルもいいけど、あなた達以上にお似合いなカップルは居ないわよ。」

小狼 「なっ...!!」

反射的に顔が赤くなる。

山本 「李、カメラ写りがいいだけだって。 気にするな。」

有希恵 「あんたは黙ってなさい。」

そして、本堂へお参りしたあと、おみくじをひく事になった。

山崎 「あっ! 大吉だよ! 千春ちゃんは?」

千春 「何かビミョー。 末吉だって。」

山本 「なんだよ。 三原と同じだよ。」

凶が出てうなだれてる原 「末吉だっていいじゃんか。こっちなんか...」

吉だったので胸をなで下ろしてる神尾 「でも 『失物間もなく出る』 って書いて あるじゃん。 この間無くしたって言ってたカラオケ屋の ポイントカードのことじゃね?」

凶でがっくりしてる小百合 「世の中安泰ね。」

利佳 「私もおんなじ事書いてあったよ。 でも何も無くしてないのよね。」

予想に反して大吉だった奈緒子 「いいなぁ。 私なんか 『物に隠れて出ず』 だったよ。」

美紀 「う〜ん、吉か... 意外と微妙...」

有希恵 「大丈夫、私もだよ。」

さくら 「あっ、私 大吉だ! 小狼くんは?」

小狼 「俺も大吉だ。 あっ... さくらと同じ事書いてある。」

さくら 「え? 何?見せて。」

何が書いてあったかというと…

恋愛 今の人より他になし

さくら 「これで今年も大丈夫だね。」

小狼 「いや、今年じゃなくて... この先ずっとだと思う。」

さくら 「!!」

帰り、駅までの参道を、お互い顔を赤くしながらも、手を握って歩いていった。


さくら 「お父さん! お誕生日おめでとう! このおみやげ、プレゼントだよ。」

藤隆 「ありがとうございます、さくらさん。」

夕方帰宅したさくらは、3日が誕生日の藤隆に、誕生日プレゼントを渡していた。

桃矢 「父さん、俺も土産買ってきた。」

桃矢は、雪兎を含む大学の同期とともに、元旦から函館や札幌を回り、 夕方の飛行機で帰ってきた。 土産は冷凍のカニだ。

藤隆 「ありがとうございます。 せっかくですし、解凍して食べましょう。」

そして、夕飯が出来て、食べ始めた頃、たまたまついていたテレビで、 正月の特番が放送されていた。

ナレーション 「俳優、お笑い芸人、舞台女優など総勢10人が、今日までの 三が日に日本全国を飛び回った! お正月のスペシャルリポート 特番、『有名人リポート The 日本縦断2006!』 リポートを2時間の生放送で 一挙大公開! ... (略) ...」

桃矢 「そういえば、中川がこれに出るってメールしてきたな。」

さくら 「え、私会ったよ?」

桃矢 「は? どこで!?」

藤隆 「さくらさん、今日帰ってくる途中に、成田山に初詣に行って来たんですよ。 この番組の収録だったんですね。」

そして、番組の後半になり...

司会 「つづいては、舞台女優やファッションモデルとして活躍中の 中川容子さんのリポートです。 今日、成田山新勝寺へ取材に行って来たと いう事で、早速VTRの方をご覧ください。」

容子 (TV) 「どうもー! 中川容子です! 今日は、初詣の定番、成田山新勝寺へやって きました。 リポートをやるのは初めてですが、頑張ってみます!」

〜略〜

ナレーション 「リポートに同行させてくれた都内の高校生たちは、今日香港から 帰国した同級生の友人二人を迎え、その帰りに成田山へ寄ったそうです。」

そのナレーションとともに、みんなで並んで歩いているところを、一人だけ前に出、 カメラに向かってピースをしたりして目立っている山本が映り、笑いが起こる。 その直後、手をつないで楽しそうに歩いているさくらと小狼が映った。

ベキッ

桃矢が握っていた空のビール缶が、音を立てて潰れた。 だが、このあと、 二人が映った映像が続いた。 映像が終わったあと、「いいね〜。 ああいうカップル」 と、出演しているタレントが言った。 顔を赤らめる さくらの横で、桃矢のボルテージはさらに上昇していった。

さくら 「お兄ちゃん。 どうしたの?」

番組が終わり、落ち着いたさくらが横を見ると、桃矢の様子が変だという 事に気付いた。

桃矢 「... あのガキ... (グシャ ← 二本目のビールの空き缶)」

さくら 「??」


あとがき

と言うわけで、今更初詣ネタでございました。 月峰神社にしようとも思いましたが、 千葉県民ならばと言う事で成田山にしてみました。 次回は恒例のバレンタイン ネタ、かも…?



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