ボールド体 は、話しているキャラクタの名前。
イタリック体は 思っていること。
インデントしていない文章はト書きです。
作者: MiROiR
昼食の後、さくらたちは地下鉄で移動している。 ケロはさくらの かばんの中に隠れている。 | |
さくら | エリオル君が言ってたの。 「大阪市の南のほう」 って。 |
小狼 | 柊沢が...? |
さくら | うん... 携帯電話で教えてくれたの。 |
小狼 | さくら、何か、感じるか? |
さくら | うん、何か、いやな予感が... |
そのとき、さくらの携帯電話が鳴る。 | |
さくら | ほえ? メール受信1件。 |
さくらは受信したメールを開いてみる。 差出人の欄には、 Kaho Mizukiと表示されていた。 | |
さくら | これ、観月先生からだ... |
小狼 | あの先生から... |
さくらはメールを読んでみる。 | |
To: さくらちゃん | |
さくら | 無敵の呪文? |
小狼 | あの先生も、気配を感じていたのか。 これはいやな予感... |
車内放送 | 天王寺、天王寺、終点です。 |
さくら&小狼 | あ!! |
あいにく天王寺までしか行かない電車だったため、 やむなくここで降りることに。 | |
小狼 | さくら、気配を感じるだろう。 |
さくら | うん。 |
小狼 | それがどこから来てるか、わかるか? |
さくら | ううん、わからない。 一箇所から出ているものじゃないみたい。 |
小狼 | 御堂筋線のホームじゃ、人が多すぎてだめか。 ほかに何か、あったか? |
さくら | 昨日、夢で見たの。 なんだかよくわからない塔を。 |
小狼 | どんな感じだった? |
さくら | はっきりとは... 覚えてないの。 |
小狼 | ところで... |
さくら | ほえ? |
小狼 | 大道寺は? |
その頃、知世と苺鈴は大国町で降り四つ橋線に 乗り換えてしまったため、今は南港で無人の電車に乗っている。知世の洞察力と 苺鈴の勘でここまで来たらしい。 | |
知世 | おかしいですわ。 さくらちゃんたら、どこに行ったのでしょう。 |
苺鈴 | ひょっとして降りる駅を間違えたんじゃ... |
知世 | あらあらそれは大変ですわ! |
苺鈴 | あ! |
知世 | どうなさいました? |
苺鈴 | この駅の辺り! |
苺鈴は魔力がないが、勘で察知したらしい。 当たっているかどうかは いまいち信頼できないが... そして二人は駅を降りた。その駅とは、「中ふ頭」 | |
桃矢とユキはレストランから出てくる。 | |
桃矢 | 絶対いつもより多かったよな。 |
雪兎 | うん、今日は何か大変なことが起こるみたいだから、たくさん食べて おかないと。 |
桃矢 | そりゃ、そうだよな。 |
雪兎 | あっ! |
桃矢 | ユキ? |
雪兎 | なんかこの辺、変な感じがするね。 |
桃矢 | そうか? 確かになんか違うような... |
実は、雪兎がいつもより多く食事を食べたため、桃矢も出発が遅くなり、 ほかのみんなが どの路線に乗ったのかがわからず、 谷町線に乗ってしまったのである。 | |
雪兎 | 降りよう。 |
桃矢 | ユキがそう言うなら。 |
二人は四天王寺前夕陽ヶ丘で電車を降りた。 | |
舞麗とノエルは、梅田を出発するときに強い気配を感じたため、谷町線に乗った。 | |
舞麗 | ノエル? |
ノエル | ここ、変な気配... 強くなってる! この駅! 降りよう! |
舞麗 | ノエル! |
谷町4丁目に着くと、ノエルは取りつかれたように走り出し、 舞麗はただそれを追うだけであった。 しかし、走っているとノエルは改札の前で派手にコケた。 急ブレーキを かけようとしたらしい。 | |
ノエル | 痛たたた... |
舞麗 |
そんなに慌てるから! でも思い出すなあ。 昔ソウルの地下鉄で慌ててズッコケたことを。 あれ? ノエル! どこに行くの! 待って! ノエル! |
二人は改札を降りると、ある方向へと進み、難波宮の跡地で 立ち止まった。 オムニテネブリアが降臨するには良さそうな場所だが... | |
ノエル | くっ... あ... あ... 頭が...! |
急に頭痛を起こし、倒れるノエル。 | |
舞麗 | ノエル! ノエル! どうしたの!? |
ノエル | うっ... |
舞麗 | ノエル! |
ノエル | ううん、何でもない。 |
舞麗 | 何でもないじゃないでしょう。 |
ノエル | 何かとてつもない力にやられたみたい。 |
舞麗 | とてつもない力? |
ノエル | 私の勘がはずれた。 |
舞麗 | 外れた? ここじゃないってこと? |
ノエルは無言でうなずく。 | |
舞麗 |
とんだ無駄足... 気配の主はどこに...? そう... |
ノエル | ごめんね、舞麗。 私のせいで... |
舞麗 | なに言っているのノエル、ちょっと調子が悪いだけなのよ。 |
ノエル | メルシ モナミ... ジュ クロワ ジェ エピュゼ マ フォルス... |
ノエルが幼い時に過ごしたことのあるフランスの言葉である。 しかし舞麗は フランス語がわからない。 | |
舞麗 | ? |
ノエル | 「ありがとう友よ... 力を使いすぎた」 って意味よ。 |
ノエルはとてもつらい。 頭痛に耐えられない。それに何か体調がおかしい。 舞麗は、ノエルを自分の家に連れて帰り、しばらく休ませることにした。 | |
その頃のさくらと小狼とケロは、さくらが気配を正確に察知できるように、 谷町線に乗り換え、人が比較的少ない駒川中野まで移動していた。 | |
小狼 | さくら、どうだ? 何かわかったか? |
さくら | ううん、気配が、わからなくなっちゃったの。 |
小狼 |
だめか。 なんでだめなんだ... それだけとてつもない力の持ち主なのか? |
さくら | 絶対、大丈夫だよ。 |
さくらは何かひらめいたらしく、鶴橋の舞麗の家に戻ることにした。 |