はじめに

ボールド体 は、話しているキャラクタの名前。
イタリック体は 思っていること。
インデントしていない文章はト書きです。


さくらとケロと大阪で

第 6 章

作者: MiROiR


昼食の後、さくらたちは地下鉄で移動している。 ケロはさくらの かばんの中に隠れている。
さくら エリオル君が言ってたの。 「大阪市の南のほう」 って。
小狼 柊沢が...?
さくら うん... 携帯電話で教えてくれたの。
小狼 さくら、何か、感じるか?
さくら うん、何か、いやな予感が...
そのとき、さくらの携帯電話が鳴る。
さくら ほえ? メール受信1件。
さくらは受信したメールを開いてみる。 差出人の欄には、 Kaho Mizukiと表示されていた。
さくら これ、観月先生からだ...
小狼 あの先生から...
さくらはメールを読んでみる。
To: さくらちゃん
From: Kaho Mizuki

さくらちゃん、お元気ですか。
昨日から、さくらちゃんが大阪に旅行しているということを聞きました。 歩いていたらいつの間にか西宮に来てしまったようです。 このまま歩いていくと大阪にたどり着けるかもしれないけど、自信がないの。 ところで、さくらちゃんが旅行している大阪のほうから、不思議な力を感じています。 何か大変なことが起こるみたいですが、残念ながら、今私ができることは何もないの。 でもさくらちゃんの 「無敵の呪文」、これだけは忘れないでね。
さくら 無敵の呪文?
小狼 あの先生も、気配を感じていたのか。 これはいやな予感...
車内放送 天王寺、天王寺、終点です。
さくら&小狼 あ!!
あいにく天王寺までしか行かない電車だったため、 やむなくここで降りることに。
小狼 さくら、気配を感じるだろう。
さくら うん。
小狼 それがどこから来てるか、わかるか?
さくら ううん、わからない。 一箇所から出ているものじゃないみたい。
小狼 御堂筋線のホームじゃ、人が多すぎてだめか。 ほかに何か、あったか?
さくら 昨日、夢で見たの。 なんだかよくわからない塔を。
小狼 どんな感じだった?
さくら はっきりとは... 覚えてないの。
小狼 ところで...
さくら ほえ?
小狼 大道寺は?

その頃、知世と苺鈴は大国町で降り四つ橋線に 乗り換えてしまったため、今は南港で無人の電車に乗っている。知世の洞察力と 苺鈴の勘でここまで来たらしい。
知世 おかしいですわ。 さくらちゃんたら、どこに行ったのでしょう。
苺鈴 ひょっとして降りる駅を間違えたんじゃ...
知世 あらあらそれは大変ですわ!
苺鈴 あ!
知世 どうなさいました?
苺鈴 この駅の辺り!
苺鈴は魔力がないが、勘で察知したらしい。 当たっているかどうかは いまいち信頼できないが... そして二人は駅を降りた。その駅とは、「中ふ頭」

桃矢とユキはレストランから出てくる。
桃矢 絶対いつもより多かったよな。
雪兎 うん、今日は何か大変なことが起こるみたいだから、たくさん食べて おかないと。
桃矢 そりゃ、そうだよな。
雪兎 あっ!
桃矢 ユキ?
雪兎 なんかこの辺、変な感じがするね。
桃矢 そうか? 確かになんか違うような...
実は、雪兎がいつもより多く食事を食べたため、桃矢も出発が遅くなり、 ほかのみんなが どの路線に乗ったのかがわからず、 谷町線に乗ってしまったのである。
雪兎 降りよう。
桃矢 ユキがそう言うなら。
二人は四天王寺前夕陽ヶ丘で電車を降りた。

舞麗とノエルは、梅田を出発するときに強い気配を感じたため、谷町線に乗った。
舞麗 ノエル?
ノエル ここ、変な気配... 強くなってる! この駅! 降りよう!
舞麗 ノエル!
谷町4丁目に着くと、ノエルは取りつかれたように走り出し、 舞麗はただそれを追うだけであった。 しかし、走っているとノエルは改札の前で派手にコケた。 急ブレーキを かけようとしたらしい。
ノエル 痛たたた...
舞麗 そんなに慌てるから!
でも思い出すなあ。 昔ソウルの地下鉄で慌ててズッコケたことを。
あれ? ノエル! どこに行くの! 待って! ノエル!
二人は改札を降りると、ある方向へと進み、難波宮の跡地で 立ち止まった。 オムニテネブリアが降臨するには良さそうな場所だが...
ノエル くっ... あ... あ... 頭が...!
急に頭痛を起こし、倒れるノエル。
舞麗 ノエル! ノエル! どうしたの!?
ノエル うっ...
舞麗 ノエル!
ノエル ううん、何でもない。
舞麗 何でもないじゃないでしょう。
ノエル 何かとてつもない力にやられたみたい。
舞麗 とてつもない力?
ノエル 私の勘がはずれた。
舞麗 外れた? ここじゃないってこと?
ノエルは無言でうなずく。
舞麗 とんだ無駄足... 気配の主はどこに...?
そう...
ノエル ごめんね、舞麗。 私のせいで...
舞麗 なに言っているのノエル、ちょっと調子が悪いだけなのよ。
ノエル メルシ モナミ... ジュ クロワ ジェ エピュゼ マ フォルス...
ノエルが幼い時に過ごしたことのあるフランスの言葉である。 しかし舞麗は フランス語がわからない。
舞麗 ?
ノエル 「ありがとう友よ... 力を使いすぎた」 って意味よ。
ノエルはとてもつらい。 頭痛に耐えられない。それに何か体調がおかしい。 舞麗は、ノエルを自分の家に連れて帰り、しばらく休ませることにした。

その頃のさくらと小狼とケロは、さくらが気配を正確に察知できるように、 谷町線に乗り換え、人が比較的少ない駒川中野まで移動していた。
小狼 さくら、どうだ? 何かわかったか?
さくら ううん、気配が、わからなくなっちゃったの。
小狼 だめか。
なんでだめなんだ... それだけとてつもない力の持ち主なのか?
さくら 絶対、大丈夫だよ。
さくらは何かひらめいたらしく、鶴橋の舞麗の家に戻ることにした。

続く

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