ボールド体 は、話しているキャラクタの名前。
イタリック体は 思っていること。
インデントしていない文章はト書きです。
作者: geng-kaat31 さま
ここは弁天ふ頭(のバス停)。さくら、知世、舞麗がバスを待っている。 | |
舞麗 | さ... さくらさん。 |
さくら | なに? |
舞麗 | それから... 大道寺さん。 |
知世 | なんですの? 舞麗さん。 |
舞麗 | 焼肉... 食べに行きましょうよ。 おいしい店、知ってるんです。 おごりますよ。 |
さくら | や、焼肉、おごってくれるの? [半ば はにゃーん] |
知世 | まあ、うれしいですわ。 |
するとバスが来る。 弁天町から出発し、堀江から心斎橋を通って 難波へ行くバスである。 三人(と一匹)はこのバスに乗り込んだ。 | |
さくら達の乗ったバスは、20分程度で終点に着いた。 | |
知世 | さくらちゃん、そろそろ終点ですわ。 |
さくら | え? あ、あああ〜〜〜〜っ!! |
さくらは、バスの中にいることを忘れて はにゃーん していたらしい。 バスを降りてからは、地下鉄 (千日前線) に乗り、鶴橋まで行ったのであった。 | |
鶴橋駅を出てからは、舞麗が案内してくれたので、迷うことなく店に着いた。 | |
舞麗 | あ、ここですよ。 |
それは大きくも小さくもない店だった。 | |
さくら | え、このお店? えっと、えーっと... 読めないよ〜。 |
さくらは、看板を読もうとしたが全く読めなかった。 なぜなら、 それがハングル文字だったからである。 実は看板の上のほうに、韓国語で焼肉を意味する 「プルコギ」 という語が 書かれているのだった。 | |
舞麗 | あ、じゃあ入るよ。 [店の中へ向かって] アンニョンハセヨ。 |
さくら&知世 | こんにちは〜 |
店の主人 | 舞麗氏 (ムリョッシ)、アンニョンハセヨ! |
マスターが「舞麗さん」と言ったことから、どうやらここは舞麗の 行きつけの店のようだ。 | |
舞麗 | 遠慮しないでしっかり食べていってくださいね。 |
三人は焼肉を食べながら雑談で盛り上がっていたら、 さくらのカバンから何か飛び出してきた。 | |
ケロ | こらー!! わいを忘れとったんかー!! |
さくら | あ、ごめーん、ケロちゃん。 |
舞麗 |
あははは。 ん? あれ、ただのぬいぐるみじゃないよね。 でも、なんか、知ってるような気がする... |
ケロ | うわー、焼肉かー。おいしそうやなー。 |
さくら | ケロちゃん、食べる? |
ケロ | わーい! |
というわけで、ケロも焼肉を食べられることになった。 | |
ケロ | さくら、こりゃ、今しっかり食べとかへんかったらまずいで。 |
焼肉を食べ終わったさくらたちは舞麗の家に案内された。 | |
舞麗 | お祖母ちゃんが 「泊まっていきなさい」 って。 |
さくら | え? 本当にいいんですか? |
舞麗 | 今、部屋を用意してもらってるから、ちょっと待っててね。 |
部屋の準備が出来たようなので、さくらと知世(とケロ)は 用意された部屋に行く。 六畳の部屋にテーブルと布団とラジオと 蛍光灯が用意されているくらいだが、舞麗は 「別に不自由はしないだろう」 と のことである。 | |
さくらと知世 (とケロ) 二人 (と一匹) きりになって、障子を閉めた。 | |
さくら | 昨日見た夢、やっぱり予知夢だったのかなあ。 |
ケロ | どんな夢やったんや? |
さくら | 塔が出てきたの。 でも見たことのない塔だった。 |
ケロ | うん、うん。 それで? |
さくら | その塔の上に誰か立ってたの。 見たことあるような、ないような人が。 |
ケロ | さくら、そりゃ 9分9厘予知夢やな。 |
知世 | とすると、その塔で私たちに何か起こるということなのでしょうか。 |
ケロ | その可能性が高いな。 |
さくら | カードさん達に聞いてみよう。 |
そういうとさくらは、カバンの中にしまっていた さくらカードの本を取り出した。 | |
ケロ | 冴えとるやんか、さくら。 こういうこともあろうかと、さくらカード持ってとってんな。 |
さくら | うん。 聞いてみるよ。 |
さくらは意識を集中し、裏向けのカード 53枚をかき混ぜる。 そしてカードの 山を 5つに分け、また一つにまとめる。 そして、あらかじめケロに 教わっていた並べ方でカードを並べる。 占いを始めたのだ。 | |
さくら | 我の作りしカードよ、我が問いかけに答えよ。 |
ところで、そのころの とーや と ユキ はというと | |
桃矢 | ったく、どこで油売ってんだ、さくらは。 |
そんな心配をしていると、桃矢の携帯電話に藤隆から電話がかかってきた。 | |
桃矢 | もしもし。父さん? うん。 え? 上本町に変更!? |
と、電話はここで切れる。 | |
桃矢 | ユキ、難波に泊まる予定が、上本町に変更になったらしい。 |
さくらの携帯電話に桃矢から電話があった。 これから上本町に行くと。 | |
さくら | あ! そうだった! お兄ちゃんと雪兎さん待たせてたの! |
さくらはカードを本にしまって、カバンに入れて外へ駆け出していった。 | |
ケロ | って、おい! さくら! 全く、難儀なことになったなあ。 |
最寄りの駅は鶴橋駅。 地下鉄に乗れば目的地までは1駅で着く---谷町9丁目で 降りればいいのだ。 そしてその谷町9丁目駅。さくらは改札外に出て、 人気(ひとけ)のない場所を探した。幸い、それは案外簡単に見つかった。 | |
さくら | 星の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ。 契約の下、さくらが命じる。封印解除!! |
誰もいないところで一人で決めポーズをするさくら。 | |
さくら | 我の姿を映し、もう一人の我となれ、鏡 (ミラー) !! |
こんなことをしても、簡単にばれてしまうだろう。 しかしそれでも、さくらは兄を心配させまいと、鏡 を呼び出したのだった。 | |
そして、桃矢と雪兎が上本町に到着した。 | |
桃矢 |
待たせたな、さ... [さくらじゃないことに気づく] 一緒に食べに行くか?」 |
ミラー | また会えた、この人に... |
今はもう魔力こそない桃矢だが、さくらとミラーの区別はできるようだ。 | |
さくらが舞麗の家に戻ってきたとき、知世と舞麗は疲れたのか、 眠ってしまっていた。ケロも寝ているようだ。 | |
さくら | ほえ? みんな寝てる。 まだ日が暮れたばかりなのに... なんか... 眠... |
さくらは眠気に襲われ、そのまま眠ってしまった。 | |
さくら | [寝言] 絶対... 大丈夫... だよ... |
初めての町で疲れたのだろうか、それとも...? |