このファンフィックは脚本形式です。 これは、私 Yuki Neco が書いた番外編で、テレビの一話分の長さくらいあります。 舞台は、さくらカード編の真ん中あたりと思ってください。 えっと... ちょっとエリオルをヘンに書きすぎたかも... エリオルって好きなキャラなんですけどね。
ボールド体 は、話しているキャラクタの名前。
イタリック体は 思っていること。
インデントしていない文章はト書きです。
原文: Sakura and an Air Raid by a Big Doll Squadron
作者: Yuki Neco
翻訳: Yuki Neco
さくら | わぁ、利佳ちゃんお人形さんつくってんの? ホントにお裁縫上手だね。 |
知世 | 本当にすばらしいですわ。 |
利佳 | そんなことないわよ。 |
奈緒子 | でも、これ誰かに似てるような... |
利佳 | [ぽっ] |
山崎 | 人形ってね、昔は男の人の持ち物だったんだよ。 |
千春 | また出た... |
山崎 | 昔の人形はね、人間そっくりで、人間と同じ大きさだったんだ。 |
さくら | どうしてそんなに大きかったの? |
山崎 | いい質問だね。 極寒の大陸に長い間行く冒険家たちがね、 奥さんや恋人たちがいなくて寂しいから、代わりに人形を連れて行ったんだ。 |
知世 | 奥さんの代わりに? |
山崎 | うん。 その人形には、奥さんや恋人を思い出させるための いい感じの仕組みがあってね、 そのいい感じの仕組みを使った 冒険家は、それはそれはいい感じになったんだって。 ところが、ある冒険家はそのいい感じの虜になっちゃって、 冒険してない時も、人形と一緒にいるようになったから、 恋人が怒っちゃって... |
千春 | ウソもそのくらいにしないとひどいわよ。 |
さくら | え〜っ、ウソだったのぉ? |
知世 | うふふ、今の話はダッ○ワイ○ですわね。 |
さくら | ほえ? 大きなお人形さんのことを○ッチ○イフっていうの? |
知世 | あ、そういうわけじゃないんですけど... |
利佳 | みんな、そろそろ行かないと算数の授業が。 |
さくら | お小遣いも貯まったし、週末、デパートにお洋服買いに行くの。 |
ケロ | 無駄遣いもせんと、ためたんか。 えらいなぁ。 |
さくら | かわいいお洋服があるの。 ダッ○ワイ○さんが着てるのが すごいかわいくって。 |
ケロ |
そうか。 ...って、なに?! きょうびのデパートは、○ッチ○フなんか置いとるんかいな。 えらい世の中やで。 |
さくら | なに言ってんの? ショーウィンドウにいっぱい置いてるじゃない。 |
ケロ | それは、マネキンや! いったいどこでそんな言葉覚えてきたんや?! ファンが泣くで。 |
さくら | ちょっと待ってよ。 知世ちゃんが、大きなお人形さんのことを ダッ○ワ○フって呼ぶって言ってたよ。 |
ケロ | それは、ちょっと違うで。 |
さくら | どう違うの? |
ケロ | それはな、中に空気を吹き込んで使うんやけど... ってなに言わせるんや?! [さくらの頭をたたく] |
さくら | いたいよ! ホントはケロちゃん、知らないんでしょ。 いいもん、お父さんに訊いてくる。 |
ケロ | それはあかんで! |
さくら | お父さん、大学の先生だから何でも知ってるもん! |
ケロ | 待たんかい! あかん... |
居間に行くと、藤隆がクラシック曲を聴いている。 | |
さくら | お父さん、ダッ○ワイ○とマネキンってどう違うの?! |
藤隆 | さくらさん... なにを唐突に。 [眼鏡がズレる] |
さくら | 知世ちゃんが、大きいお人形さんのことを○ッチ○イフって 言ってたんだけど、別のお友達が、それは違うというの。 |
藤隆 | 知世さんですか... さすが、園美さんの娘だ。 |
さくら | ほえ? |
藤隆 | それは、難しいですね... |
さくら | 難しいことなの? |
そこに、桃矢が帰ってくる。 | |
桃矢 |
ただいま。 な、なんだ、この不健全な空気は...? |
さくら | あ、お兄ちゃん。 いまね、お父さんにダッ○ワ○フのこと訊いてたの。 |
桃矢 | げ、父さん... |
藤隆 | 言葉を外で聞いてきたようです。 本当のことを言うべきかどうか... |
桃矢 | それはまずいな。 さくらにはまだ早すぎる。 |
藤隆 | そうですね。 |
さくら | どうしたの? |
藤隆 | それは、難しいことですよ。 そ、そう。 それは大学で教えることなんですよ。 去年、大学で○ッチ○イフのテストした時には、 5人しか合格しなかったんですよ。 |
さくら | なんだ、そうなんだ。 |
桃矢 | ふぅ... |
さくら | じゃあ、さくら、一生懸命勉強して、ダッ○ワイ○のことが わかるようになりたい。 |
藤隆 |
え... さくらさん、そう言うことは人前で言わない方が... |
さくら | どうして? |
桃矢 | 能ある鷹は爪を隠すってことだ。 |
エリオル | くっくっく、苦労してますね。 さくらさんのお父さんの機転で、なんとか、さくらさんがあの言葉を 知ってしまうのは免れ、さくらさんも勉学にいそしみそうだ。 でも、つじつま合わせも大変ですね。 |
スッピー | エリオル、さっきから何をブツブツ言ってるんです? |
エリオル | スピネルか。クロウカードの主が、とんでもない言葉を知ってしまって、 今にも問題を起こしそうなんだよ。 |
スッピー | 何を知ってしまったんです。 |
エリオル | ダッ○ワ○フだ。 |
スッピー | 別にいいではありませんか。多少、知るのが早いかもしれませんが。 |
エリオル | でも、さくらさんは意味を勘違いしている。あのままでは、いずれ、 人前で「○ッチ○イ○博士になりたい」なんて言いかねない。 |
スッピー | それはまずいですね。[笑いを堪える] |
奈久留 | エリオル, スッピー、その「ダッ○ワ○フ」ってな〜に? |
エリオル | ルビー・ムーン。おまえもいたのか? |
奈久留 | ねぇ〜、それってなぁ〜にぃ? |
スッピー | 知ってるくせに... |
奈久留 | え〜っ、スッピー、あたし知らないの〜! |
スッピー | 誰がスッピーです?! |
奈久留 | 教えてよ、スッピー。あたし、そんなエッチなこと知らないんだも〜ん! |
スッピー | やっぱり知ってるじゃないですか... |
エリオル | 二人とも、しばらく遊んでろ。わたしは出かけてくる。 |
エリオル | 純真なさくらさんに、あんな言葉を吹き込むなんて、 大道寺さんも困ったものだな。お兄さんも気が気でないだろう。 |
エリオル | ふ、そろそろ時間だな。さて... |
スピネル | ここにいましたか、エリオル。 |
エリオル | スピネルか、おどかすな。 |
スピネル | どうしたんです。一人で、出かけるなんて。 |
エリオル | スピネル、静かに。 |
エリオル | ふふふ、この頃、星篠高校の女子ソフトボール部は こんな時間まで練習しているのだよ。夜になると、彼女らも 油断して、以外と簡単に更衣室を覗けたりするんだ。 |
スピネル | 出かけた目的はこれだったんですね。 |
エリオル | 昼間は、真面目な小学生を演じなければならない身としては、 結構大変なのだよ。お、最近の高校生はよく発育してるな。くっくっく。 |
スピネル | で、なんでこんな遅くまで練習してるのでしょう? |
エリオル | 高校ソフトボール大会が近づいているらしい。 |
ルビー | 近づいている? ♪水平線の一点で交わる山と海 近づいてい〜る (Cardcaptors の挿入歌です ^^;) |
エリオル | 歌うな、気づかれる! |
ルビー | ったく、二人してなに怪しい会話してるのよ? |
エリオル | おまえもいたのか? 二人して、わたしのささやかな趣味を邪魔する のだけはやめてくれよ。 |
スピネル | 心配無用。そんなもの、わたしにとっては空気みたいなもの。 |
エリオル | ふっ、そうか。ルビー、おまえにもわたしの気持ちはわからない だろうな。 |
ルビー | エリオルが男だから... ってこと? そんなのわからないわ。 わたし、別に人間じゃないし、性別なんて関係ないわ。 |
エリオル | 便利なのか、不便なのか、体が子供で心はオトナ... まあ、それも、 前世からの望みを叶えるための手段にすぎないが。 |
スピネル | って、エリオル。なぜ、「オトナ」だけがカタカナなんですか? |
エリオル |
細かいことは気にしないでいい。 おぉ、あの子、おとなしそうな顔して、身体はセクシーダイナマイト... |
スピネル | そんなに、興味があるのなら、魔力で時間を止めて、堂々と見れば いいのでは? |
エリオル | いつバレるかわからないスリルがいいのだよ。このドキドキは、 どんな魔力にも勝る。 |
スピネル | ... (汗) |
ルビー | あ〜あ、せっかく、あたしたちも真の姿に戻って出て来たというのに、 覗きだなんて。TOKIO のテレビ見てればよかった。 長瀬くんと太一くん大好きなのに... |
ケロ | なんや、さくら、よお頑張るやないか。 |
さくら | うん、お父さんが言ってたの。勉強して頑張れば、大学に入れて、 いろんなことがわかるようになって、あのダッ○ワ○フのことだって。 |
ケロ | げっ。さくら〜、それは... |
さくら | でもね、あたし、ケロちゃんのこと少し見直しちゃった。 ケロちゃんが○ッチ○イ○のこと知ってるんだもん。 |
ケロ |
そ、そうか〜? あはははは... どえらいことやで〜 |
さくら | ケロちゃん、今、クロウさんの気配が。 |
ケロ | 確かにクロウの気配や。 |
さくら | でも、いつもの気配と違う。なんか、近寄っちゃいけないような 気がするの。 |
ケロ | せやな、今回の気配は、やたらと油ぎっとるで。 |
さくら | なんとなく、危険な感じが... |
ケロ | さくらの魔力、つよ〜なっとるな... というより、女の勘か... |
さくら | でも... クロウさんの気配がするってことは、何か不思議なことが 起こるってことだよね。はうう、こんなコワい気配って初めてだよぉ。 |
知世 | 今日は、メルヘンチックなさくらちゃんでいきましょう。 |
さくら | はうう... なんか、チューリップ畑と風車が似合いそうだね。 |
知世 | さすが、さくらちゃん! お察しの通り、オランダ風、ダッチさくら ちゃんですわ。かわいさ炸裂ですわ。ね、李くん。 |
小狼 | べ、別に... (真っ赤になる) |
さくら | あのね、今日のクロウさんの気配ね... すごくコワくって、 こんな格好してると、もっと危険な予感もするんだけど... |
ユエ | ケルベロス、この気配は... |
ケロ | どっちかというと、本来のクロウの気配や。こんな気配を出した直後、 クロウはカードを創ることがあったな。 |
さくら | ケロちゃん、ユエさん、気配が弱くなってきた。 |
ケロ | はよ、見つけるんや! |
エリオル | 今日はこれでおしまいですね。ふふふ、いいものを見せてもらいま した。まったく、やめられませんね、これは。 |
スピネル | 大変です、エリオル。 |
エリオル | ん? どうした、スピネル? |
エリオル | なぜ、さくらさんたちが? |
スピネル | 魔力の気配が... |
エリオル | し、しまった。それで、さくらさんたちが! |
ルビー | ったく、エリオルったら、のぞきに夢中になってるもんだから、気配を 消すの忘れて、いやらしい魔力がジワジワにじみ出てたわよ。 |
エリオル | いやらしい魔力と言うな。今、わたしたちの正体がばれると、まずい。 |
ルビー | 逃げるの? |
エリオル | もう手遅れだ。予定にはなかったが、少し遊んでいきましょうか。 |
小狼 | うわぁ! なんだ!? |
知世 | ソフトボールの雨ですわ。 |
さくら | な、なんで? |
さくら | ほえええ! なんなの?! 大きなお人形が!! あれって、マネキン? それとも... |
知世 | あれはダッ○ワ○フですわ!! |
さくら | なぜ、わかるの?! |
知世 | 婦警さんの格好して、口を開けてるからですわ! |
ケロ | んなこと言うてる場合やないやろ! はよなんとかするんや! |
小狼 | はぁ... は! は! は! |
小狼 | くそ... 数が多すぎて... |
エリオル | 危ないところでした。ちょうどいい。さくらさん, どうしますか? |
スピネル | いくらクールを装っても、ダッ○ワ○フで攻撃とは、女子ソフト ボール部員の着替えを覗いたヨコシマな心が消えてないですね。 |
ルビー | しかも、なぜ婦警さんなのよ? |
エリオル | わたしの趣味だ。ほっといてくれ。 |
小狼は剣を取り出し、魔法を使う。 | |
小狼 | 雷帝招来! はあっ! |
さくら | いたた... 痛いよう! |
知世 | 大変なことになってきましたわ! |
さくら | ありがとうユエさん。でも、ユエさん、元気がないみたい。 |
ユエ | 大丈夫だ。それより、ケルベロス、クロウの気配が戦闘態勢に 入ってきたようだ。 |
ケルベロス | 確かに... この空飛ぶダッ○ワ○フはどないすればいいんや。 |
知世 | ケロちゃん、ありがとうございます。 ボールが当たってレンズが割れたら、超絶かわいいさくらちゃんの勇姿を 撮影できなくなるところでした。 |
さくら | はううう... [コケる] |
エリオル | ユエも限界が近づいてきたか。もうフラフラだ。 |
ルビー | ○ッチ○イ○に倒されるユエ... 傑作だわ! |
さくら | ものが降ってきて、埋まりそうになって... 前にそんなことが... |
小狼 | 数が多すぎる。 |
さくら | そうだ! イレーズのカードで、ダッ○ワ○フを全部消せば! |
ケロ | 他のカードつこたほうがいい! 考えるんや! |
さくら | ダメなの? |
ケロ | ダメやないが、イレーズは既にさくらカードに変換しとる。 せっかくのチャンスや! まだ変換しとらんカードを使うんや! |
小狼 | 他のカードでうまくいくのか? |
ケロ | よおわからんが、まだ変換しとらんカードでうまくいく気がする。 |
知世 | さくらちゃん! アローのカードならどうでしょうか? |
ユエ | 人形にアローのカードが効くのか? |
知世 | ダッ○ワ○フは普通の人形ではありませんわ。うまくいくような 気がするんです。 |
さくら | 知世ちゃんがそこまで言うなら、きっと大丈夫だよ。 |
さくら | クロウの創りしカードよ、古き姿を捨て生まれ変われ。 新たな主、さくらの名のもとに。アロー。 |
エリオル | や、やばい。ここは退散だ。 |
さくら | ユエさん、大丈夫。 |
ユエ | 心配はいらん。 |
小狼 | さくら、よくやった。 |
さくら | 知世ちゃんが、教えてくれたからだよ。 |
知世 | だって、ダッ○ワ○フですもの。 |
さくら | さすが知世ちゃん。さくらもね、一生懸命勉強して、○ッチ○イ○の ことがわかるようになりたいの。 |
知世 | やっぱり、さくらちゃんには、早すぎたのですね。 お願いですから、人前でダッ○ワ○フなんて言わない方が... |
さくら | そうだ、お父さんとお兄ちゃんも同じこと言ってたんだ。 |
知世 | そうでしょうとも。 |
さくら | 能ある鷹は爪を隠すって言ってた。 |
知世 | え...? [言葉を失う] |
小狼 | なんの話だ? |
知世 | とにかく、さくらちゃんにあるまじき言葉ですわ。 |
さくら | ほえ? やっぱり、大学生にならないとダメかな? |
知世 | 多分、大学生になる前におわかりになるかとは思いますが、 さくらちゃんのファンは、それを望んでいないかもしれませんわ。 |
さくら | なんなの? ますます、わかんなくなっちゃったよぉ! |
知世 | なんにせよ、ダッ○ワ○フのことがわかれば、喋りたくなくなりますわ。 きっと。 |
小狼 | なんなんだ? 大道寺、いったい、なんの話だ? |
ユエ | クロウの血を引くものよ、そんなことをご婦人に訊いてはいけない。 |
ケロ | なんや、ユエも知っとったんかい。 |
エリオル | 果たして、さくらさんが、ダッ○ワ○フの意味を知ってしまうのは、 いつになるんでしょうね? |
奈久留 | 今日のエリオル、なんか危ないわね。 |
エリオル | しかし、クロウ・リードの魔法をアローのカードででかわし、 逆にわたしを攻撃するとは、さすが、さくらさん。 |
スピネル | のぞきに夢中になってるあまり、敵の接近に気づかず、 しかも自分がけしかけたダッ○ワ○フに襲われるなんて... |
奈久留 | エリオル、ダサダサ〜。 |
エリオル | 性欲のない奴らに何がわかる。 |
奈久留 | 今日のエリオル、なんか、援助交際するオヤジみたい。 |