お姫様の帰還

作者: deko

エピローグ: お姫様の帰還そして...

英国・湖沼地帯、湖の湖畔では、お茶の時間が終わろうとしていた。

エリオル 「あの子を守ろうとしたことが、貴方たち 「教団」 の目には、 裏切りと映ったのですね? 主聖よ。」

女の子 「私は、暫定の主聖です。今の父と母が結ばれれば、 それに越したことはないんですが。 あの二人は・・奥手ですからねえ。それに。」

エリオル 「ホープですか?あの子には...」

女の子 「私には、二つの心臓があります。 一つは、母と父から受け継ぐもの。そして、もう一つは...」

エリオル 「魔力の心臓。ホープは元に戻るのですね。そして...」

女の子 「でも、それもこれも、父と母の青春時代に決まることです。
    教団は、貴方を裏切り者として処断するつもりでしょう。 主の意に背いて枝の血統を育成したと。愚かしいことです。」

エリオル 「彼らの狙いは。」

女の子 「すべての命、すべての力を魔力で統べる存在、至聖の統治です。 私は、そこへ行くまでの道程にすぎません。」

エリオルは、お代わりを頼もうと歌穂に向き直った。 だが、彼女は動かず、彼は、この時間が凍結されているのを知った。女の子は微笑んだ。

女の子 「では。これにて退場します。ネオ・リターン!」

女の子が消え、歌穂の手が動き、紅茶が注がれた。 エリオルの頭上からは、ルビーとスピネルの賑やかな声が響いた。


竹芝桟橋の展望台から離島への連絡船が出入りしているのが見える。 さくらと知世が、ホープと子猫に別れを惜しんでいる。 さくらは、用意周到な知世の機転で、新しくさらに派手なドレスを着ているが、 親友の苛立ちをも感じていた。

ホープ 「おねえちゃん。あたい、ミータンと一緒に、ミータンのお母さんを探しに行く。」

さくら 「猫のおかあさんに遷り、変化 (へんげ) したのね、ホープちゃんのお母さんは。」

ホープ 「間違いないわ! ...それに、謝りたいの。」

さくら 「二人で大丈夫?。食べ物とか旅の心配は?」

ホープ 「平気。 えっと、知世おねえちゃん...」

もの凄い顔の知世の毒気には、さくらも震え上がった。

知世 「いってらっしゃいませ。でも、早く帰ってこないと...」

さくら 「あたし、ずっと着せ替え人形のまま??」

面倒な雰囲気に、ホープは、退散を決行した。 この辺の仕草は、英国に現れた女の子そっくりである。 桟橋を走りながら、沖合の異変に立ち止まった。

ホープ 「おねえちゃん! 鯨さんよ。それに、タコさんが乗ってる。」

周囲の人も気づいたのか、しきりに指差していた。


おまけ... 友枝町の小狼の家、机の前でため息をついている小狼。 季節は冬に向かうのか、木々の葉が色づき風に、なびいている。

小狼 「未来か...」

階下から偉の声が聞こえた。

偉 「小狼さま、お茶にしましょう。」

夕暮れの太陽が眩しく照らしていた。




カードキャプターさくら FF お姫様の帰還 おわり


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