お姫様の帰還

作者: deko

第5話: 偏屈おじいさんとお姫様

夜の繁華街、雨に濡れた暗い夜道を一匹の母猫が走っていた。 彼女の 口には焼き魚が咥えられており、痩せた身体には大きく見える。 行く手に、 操業を停止した工場跡が見えてくる。 母猫は子供たちの待つ棲家に安心したのか、 歩みを緩めた。

母猫 「みんな、お腹すかせているわね」

連れ合いのいなくなった親子には、久しぶりのご馳走がありがたかった。だが、 一時、彼女はヒトの気配を感じた。 ヒゲに伝わる気配は子供のもの。 そして、 禍々しい妖気を含んでいた。

瞬間! 彼女は尻尾から引き上げられて逆さ吊りにされた。

母猫 「離して! 離して!」

ホープ 「ウルサイ!」

暴れる猫を前に、ホープは怒りをこめて怒鳴り返した。 母猫は路地に 投げ出され、せっかくの魚を放してしまった。 彼女は危険を忘れ、 必死に取りすがった。 だが、魚は取り上げられしまった。 そこへ激しい雨が降り出した。 ホープは、泥まみれの魚を頬張った。 その姿は、長い髪を伸ばした幽鬼そのもので、恐ろしげな目を赤く腫らしていた。

子猫たち 「母ちゃん! 母ちゃん...」

母猫は腰を痛めたのか足を引きずり、彼女の帰りを待っていた子供たちの ところに戻った。 子供たちはガリガリにやせこけ、先を争って 母の乳房を探った。同じように痩せた母猫はただ、子らを舐めてやるしか できなかった。 その情景が、小さな子に悲しみを与えたらしい。 彼女は、 食べかけの獲物を落とした。

ホープ 「ネコさんが悪いんだ... ネコさんなんて...」

降り続く雨か、彼女の涙なのか区別はできなかった。


友枝町の一角にある吉田家, 2階の子供部屋では和美が食事をしている。

母親 「へえ、今日は食欲旺盛ね。 いいことあったのかなあ?」

相変わらずパジャマ姿の女の子は、チューブの食事を終えると手前の ディスプレイに向かった。

擬音 「ウン。パパノ フォルダ カラ トモエダオカノ ズヲ パクッタノ。」

母親 「おやおや、和美にかかったら、秘密もないわね。」

擬音 「ヘヘ。 コノ ズ トテモ ヨク デキテル。 カイタノハ ヤマザキ タカシ サン。」

母親 「友枝丘陵ね。 木之本先生から戴いたらしいけど。 」

注: 太古の娘で山崎君が書いた図面です。

しかし、言葉とは裏腹に彼女は息が止まる思いだった。 娘は、もう一枚の図を別の モニターに表示させると目を輝かせた。

擬音 「コレガ パパノ セッケイ。 オオキナ スイロ デ...」

母親 「和美、忘れていないのね。 そこで、あなたは...

身動きのできない女の子は、心配げな母親に微笑んだ。

擬音 「パパ ハ コレデ オジイチャント アタシノ カタキウチ スルツモリネ。 ... デモ コレジ...ャ アブナイ」

母親は、娘の顔に不敵な表情を読み取った。それは、彼女の祖父である達明の 表情にそっくりだったのだ。 窓の外では、ウグイスの声が聞こえてきた。 季節は、春を予感させていた。


友枝町の道に一匹の猫がいる。 しかし、猫といえるかどうか? でっぷり太った 姿は ナマケモノそっくりで木にぶら下がり、その木の枝にはカラス頭が留まって おり、同じように 眼下の道を見ていた。

猫 「う〜〜〜〜ん。 ほっっほほ、きれいな足の女の子じゃのう。」

カラス頭 「俺としては、隣の子がいいねえ。あの髪は俺の好みだねえ。」

猫 「ちっちっ。 通は髪の毛の色に影響されんものよ。 まあ、おまえさんかたは、 黒以外というだけで敬遠するがのう。」

と、猫のご老体はあわててカラスの嘴を引っつかんで隠れた 黒い髪の女の子と一緒で、可愛いとくればこのお嬢さん。

さくらは首をかしげながら、取り出した 「訳」 のカードを見ていた。

知世 「何かしら? 中年のお方のようなお声でしたけど。」

さくら 「でも、いないよね。「訳」が自分で話すはずはないし、人の気配もない。」

知世 「最近はやりのストーカーさんでしょうか?」

さくら 「ス、ストーカー?! と、知世ちゃん、気味が悪いわ。 早く帰ろ。」

そこで、二人は家路を急ぐのだが、不気味な気配を感じているせいか次第に 早足になっていた。

訳のカード 「う〜ん。 急ぎ足のあんよもきれいじゃのう。」

たちまち、さくらは知世の手を引きながら全速力でトンズラを図った。 と、 同時に道の塀を併走する影が二人の恐怖を煽った。 爆走する二人は影におびえて おり、上空を飛行するカラスでさえ、この世のものに思えなかった。

さくら 「きゃあ〜〜! 来ないで!」

知世 「さくらちゃん! おいて行かないで!」

家々の人があきれて見守る中、二人の逃避行は騒々しく展開されて... 出し抜けに終わった。 塀の上を追跡していた猫の目前から、出し抜けに 続きの塀が無くなり... 急ブレーキも効かずに落っこちた。

訳のカード 「こりゃああ! お前の母親の撫子はそんな不人情じゃなかったぞ! またんかい!!」

そこにいたのは、巨体を喘ぎさせて手足をバタバタさせている肥満体の猫だった。


木之本家、さくらの部屋ではケロがヘッドホンをつけたまま流れるような 動作でゲームコントローラーを操っていた。

ケロ 「そこや、そこで猫殺しの必殺技! スーパーアタック!」

新しいゲームは主人公が大きな網で、町中の野良猫を捕らえる趣向らしい。 いろいろと事情があるらしいが、ケロは夢中でカウントを追いかけている。 そのせいか、さくらが帰ってきたのも気づかないらしい。 だから、猫が現れて 目の前を横断しても、意識には上らず、呆然と見送った。

ケロ「ね・・ネコ。」

猫は意に介さない様子で、悠然とベッドに上がり丸くなった。


さくらは、台所でグッタリと椅子にもたれていた。 なにしろ、猫をおんぶしてきた のだから無理もない。

さくら 「ほええ... なんて重い猫さんなの。」

知世 「ご苦労様でした。」

彼女はお盆に飲み物を用意しており、冷たいジュースを差し出した。

さくら 「ありがとう、知世ちゃん。でも、変な猫さんねえ、 熱い番茶を飲ませろなんて。」

そこへ藤隆が帰ってきた。彼は、買い物籠を抱えていた。

藤隆 「お帰りなさい。おや?お客様でもいらしてましたか?」

すばやく、さくらと知世はお盆を隠した。

知世&さくら 「え、ええ。 あの... お年を召した...」

さすがに、猫とは言えなかった。 が、階上で大きな音が響き渡った。 二人は、脱兎のように慌ててお盆を持ったまま駆け出していった。 残った藤隆は苦笑した。 だが、今の騒ぎで飛び上がった毛が彼の 注意を引いた。そして、想い出も。


再びさくらの部屋。 仮の姿のケロの顔を、猫の爪が引き裂いた。 ナルシストの彼にとって、耐え難い侮辱である。それに対して、 猫は眼光鋭く長い爪を構えている。

ケルベロス 「この、く*ネコ (自主規制)!!」

真の姿に変身した封印の獣は、大きな身体で覆いこむように猫を捕らえ ようとした...が、猫は一瞬、姿を消すように空中に飛び上がり (すごい身軽さ)、空中回転するや両足の爪を 交互に走らせた。 ドバッ! ドバッ! と音が聞こえそうな斬撃がケルベロスの顔を×印に刻み込まれた。

ケルベロス 「ギャアアアアア!!」

あまりの痛さに、彼は闇雲に猫を捕らえようとした。が、猫は再度跳躍すると、 回転回し蹴り後ろ交互足で、新しい斬撃攻撃を叩きつけた。 駆けつけたさくらと、知世の前で猫は優雅にベッドに着地したが、 体操の選手並に優雅だった。

猫 「ふん! ヒゲの無い軟弱者め!」

知世&さくら 「かっこいいいい...!!」

思わず拍手しかけた二人だが、先ほどの姿とはかけ離れた (猫の) 勇姿に 見とれたせいでもあるらしい。 猫は長いひげをピンと伸ばし、目を爛々と 輝かせている。が、調子に乗って決めポーズをした直後にひっくり返った。

猫 「あたたたたた... こ、腰が...」

その一方で、ケロは仮の姿に戻った。 しかし、顔面に四条の斬撃爪攻撃を受けて いては悲惨である。

さくら 「ケ、ケロちゃん。 しっかりして!」

知世「怖い猫さんですわ」

ケロ「さ、さくら〜〜〜〜〜〜っ」

さくらカードの主は、泣き叫ぶ守護者をしっかりと抱きしめ慰めるだけだった。


友枝町のペットショップで、立ち並ぶ水槽を三原千春と山崎君が見ていた。

山崎 「う〜〜ん、最近じゃピラニアの病気はありえないそうだよ。」

千春 「そうなの? じゃあ、私のうちのみんな (ピラニア) はなんで、浮いてたのかしら?」

山崎 「心当たりはあるけど。」

二人の見ている水槽では、あのタコ (宇宙妖怪) が気持ちよさそうに遊泳している。

千春 「とにかく、お父さんたら「新しい水槽を買って来い」って大変。」

山崎 「餌はどうするの?」

千春はお手上げという風に仕草をした。 タコは、小魚やオキアミを与えてみたが 一向に食べないのだ。

千春 「でも、この子 変なのよ。」

山崎は相変わらずの不審な目をタコに向けていたが、無邪気そうな姿に苦笑いをした。

山崎 「なにが?」

千春 「夜にね、私が眠っていると... じーーーーっと私の参考書を見ているのよ。」

山崎 「水槽越しに?」

千春 「違うわ。この子、時々、あたしと一緒にベッドで眠るもの。」

なぜか、山崎君の顔が赤くなった。 たぶん、ヤキモチですね。

山崎 「よ、よくないよ! よりによって、このタコと一緒なんて。 ああ、 神様。罪深き女を許し給え。」

店内の買い物客たちが、クスクス笑っている。

千春 「ペットと一緒に寝て何が悪いの?!」

山崎「そ、そうじゃなくて、僕はただ...」

前回に引き続き、妖怪の墨攻撃が行われた。 


さくら 「よくも、よくもケロちゃんを!」

さくらが封印の杖を召喚すると、猫も爪を構えた。 だが、そこに介入があった。

ミラー 「まってください!さくらさん。」

さくらカードたちが一斉に部屋中に飛び回った。その中で、何枚かのカードは 猫の周りで円陣を組むように立ち塞がった。 明らかに、彼らの主から猫を守る 体制である。 ミラーがジャンプとともに実体化した。

さくら 「ミラーさん! みんな、その猫から離れて!」

今のさくらは、『頭に血が上った状態』 でいるから何をしでかすかわからない。 だが、知世は自分の役目を果たした。

知世 「落ち着いて、さくらさん。」

さくらは、封印の杖を下げた。 ミラーはこんな主人が大好きだった。

ミラー 「これは、ケルベロスが悪いと思います。 守護者はその猫様を背後から 襲おうとして、報いを受けたのですから。」

ケロはさくらの腕の中で泣き叫んだ。

ケロ 「うるさいわ! お前らは余計なことをペラペラ喋るんじゃない!」

さくら 「ケロちゃん!」

いつもの駄々がこねられないのをケロは知っていた。それでも、傷の痛みに耐え かねたのか、悪態をついて、自分の身を守ろうとした。こんなことを、主が一番 嫌うことを知っているはずなのに。

ケロ 「ワイよりも、この化け猫のほうがいいのか? 見損なったわ、木之本桜!」

そのまま守護者は自分の部屋に逃げ込み、大きな音で引き出しを閉めた。

さくら「ケロちゃん・・・」

猫は娘の涙に同情したらしい。 鋭い爪を収め、寛いだ格好でうずくまった。

猫 「立派じゃ。 公平を知り、実践するものは自分に厳しい。」

彼は、知世から番茶を受け取ると猫らしくなく、前足で抱えて啜った。

猫 「うむ! なかなかいいお茶じゃな。 心優しき娘の手前は如実に出るものじゃ。」

ミラーも知世も、目を丸くして猫を見ていた。 猫の前から、さくらカードたちが離れていくと、さくらは事態を受け入れたらしい。

さくら 「私に何か御用ですか、猫さん? 私のお母さんも知っているみたいですけど。」

猫はクンクンと部屋の匂いを嗅ぎ分けた。 その方向は、ホープが入る前の人形が あった所である。

猫 「うむ。この匂いじゃ。お前さんには、変わった妹がおらぬかな?」

知世 「ホープちゃん!」

さくら 「あの子をご存知なのですか、猫さん?!」

猫は重々しくうなずいた。 カードたちは、主人たちの近くまで降りてきて一言も 聞き逃すまいとした。 それに引き換え、忘れられた守護者は悶々と自分のベッドに うずくまったままである。 これが、後に大きな災いを残すとは誰が思いついただろうか。


竹芝桟橋の公園、モニュメントの帆柱が港からの風にはためいている。 公園の下にあるダンボールハウスに、警官が入ってきた。

警官 「こんちわ、達さん。 おや? どうしたんだい、その猫は?」

達明 「ベンチの下で泣いておった。可哀想に、ガリガリじゃよ。」

確かに、子猫は骨だけといっていいくらいに痩せこけていた。 それでも、 必死にミルクの皿に顔を浸けていた。

警官 「母猫は?」

達明 「判らん。 つい一ヶ月前に子が生まれたころは元気だったようだが。 それよりも、何の用じゃ?」

警官はハウス内に腰を下ろすと、手帳を取り出した。

警官 「昨夜、下船した船員が見たんだよ。お岩さんみたいに髪を長く伸ばし、カバン みたいなのを抱えて、繁華街をうろついている。」

達明 「浮浪者か?」

警官 「いーーや。 小さな女の子らしい。 何でも、振り向いた顔はひどく 汚れていて、目が爛爛と輝いて... 獣みたいな殺気を向けてきたらしい。」

老人は、ハッとなり警官の目的を知った。

達明 「和美... いや、そんな筈は無い。」

警官は、子猫を撫でながら真顔で老人に接した。

警官 「あんたの孫娘かい? そりゃあないだろうが。 いい加減、家に帰りなよ。 あんたが、その子を気にかけているなら、その子もあんたを待っているはずさ。」

警官 「とにかく、何かあったら通報してくれ。よろしくな。」

警官は、こんな話題を繰り返さなくてはならない自分の職務がいやだった。 案の定、老人は肩を落としている。

達明 「和美、おじいちゃんを許しておくれ。お前はもう、走れない。

ミルクを舐めていた子猫が、振り仰いだ。老人の涙が、一滴、一滴とミルクに 落ちてきたからだった。


さくらの部屋の窓際にカラス頭が参加しており、訳のカードを介した猫の話が 続いていた。

さくら 「まあ! ホープちゃんたら。」

さくらは、ホープの立ち回り活劇を聞いて笑った。 ずっと心配だったので 安心したらしい。 だが、猫はそんな彼女に食ってかかった。 事態は重要なのだ。

猫 「笑いごとではないわ!! これは、乱暴者の所業じゃ!!」

猫はさくらに飛び掛り押し倒した。 なにぶんにも、10kgはあるので魔法使いとて 抵抗できない。

猫 「港周辺のネコ族は、この乱暴者に手を焼いておるばかりでなく、 餌場を取り上げられ餓えているものもいる。」

知世 「でも、猫さんたちは。」

猫 「その子がネズミたちと仲良く暮らし、時々いさかいを起こしているならばまだいい。 じゃが、逃げ惑う猫を追い回し、磔にした挙句に髯を抜いて復讐する。 それを、 たしなめられると街中を彷徨い、猫と見れば危害を加える。まこと、人間らしい 逆恨みをしているのじゃ。」

さくらには信じられなかった。 あの、やさしいお転婆さんが。 猫はさくらから離れ、代わってカラス頭が引き取った。

カラス頭 「とにかく、俺たちの手には余る。 そこで、あんたの元に引き取って ほしいんだ。後日に、俺が案内するよ。」

さくら 「はい...」

猫 「人間は... 難しい生き物じゃな。 情を持って未来を切り開くと思えば、 情で憎みあい傷つけあう。」

猫はやれやれとお茶を飲み干した。 その仕草は、まことに賢者の風格を伴っていた。 が、ドアにノックがあると、途端に消えうせた。

藤隆 「さくらさん。 お話は済みましたか?」

入ってきた藤隆氏は、亡き妻の写真と煎餅菓子を持参していた。

さくら 「あ、あの...」

藤隆 「判っていますよ。 さくらさんの力では、猫さんたちともお話ができるの でしょう?」

そして、猫を見ると微笑んだ。

藤隆 「タマ! ああ、やっぱりタマですね!」

知世 「えっ! タマって...?」

さくらと知世は、藤隆が抱っこした猫の前を見て真っ赤になった。

藤隆 「タマは、非常に珍しい三毛猫のオスなんです。」

知世 「お知り合いだったんですか?」

藤隆 「はい。 タマは我が家の一員だったころがあるんです。 桃矢君が 幼稚園の前で拾ってきて、撫子さんのおなかに、さくらさんが宿ったころでした。」

タマ (やっと名前がわかったけど) は、藤隆の持って きた撫子の写真を見ると、ゴロゴロと身を摺り寄せたところで、賢者らしく人間の 習慣に気づいた。

タマ「撫子は... 立ち去ったのか?」

藤隆 「はい。さくらさんが三歳になって、貴方がいなくなってすぐでした。」

タマ 「ワシは、撫子の匂いを娘(さくら)に見つけた。だが、撫子自身の匂いは 二度と嗅げなかった。そうか、生き物の定めとは申せ... 悲しいのう。」

知世 「では。 タマ (顔を真っ赤にしている)は長生き... 16〜17年は生きているのですか?」

カラス頭 「18年さ。 猫族呼んで、高台地方の化け猫。」

人間でも、そう呼ぶだろうとさくらは思った。 同時に猫が母の写真に向かって 涙を流している光景は、生き物の垣根を越えた心の交流を示していた。 そして、ホープを一刻も早く連れ戻さなくてはならないと彼女は、 姉の気持ちで決意した。


夜の竹芝桟橋、春の嵐か、夜空を雷が彩っている。 吉田達明は小用から戻ってきた ところである。 近くの木々が風に煽られている。 彼のハウスから、唸り声が聞こえた。 子猫が全身の毛を逆立てて、怒りの声を上げているのだ。

達明 「何じゃ? これ、怒るでない。」

彼は息を呑んだ。 狭いハウスの中にボロボロのカバンを持った女の子が 倒れていたのだ。普段なら、愛らしい顔の子。ホープだった。



つづく

謝辞

この回に登場した 「化け猫」 さんのイメージを教示していただいた神坂桜様に 感謝します。 また、未知らぬ人同士の会話でしたが、猫たちの老いた姿を 掲示していただいた HP (リンクを失念しましたが) に感謝します。


老いたタマ (猫) さんはずっと書きたかったヒーロー (セクハラ猫ですが) です。

ケロちゃんに関しては、虐待と思われるでしょう。 でも、イメージとしては、 さくらちゃんの娘の参謀として活動してます。 ケロちゃんを出汁ネタにして、小狼くんとさくらちゃんの愛が成就させるように もって行きたいのですが、たぶん無理でしょう。 無責任かもしれませんが、小狼君とさくらちゃんに大きな 試練を残そうと思います。でも、その中間 (成就するまでの期間) を書くには 力不足ですので、ここから先は想像してくださいという感じが 「お姫様の帰還」の後半のプロットです。


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