作者は Cardcaptors (カードキャプターさくら) の著作権を保持していません。 著作権は Nelvana と 講談社が保持します。 カードキャプターさくらは、 CLAMP の著作です。 しかし、この作品に出る カーリ・アンメイ、ユィン・ヤン、 フーアイ・レンと未知のカードは作者 (EcuaGirl) のオリジナルです。
-EcuaGirl
Rating: PG
原題: Keeper of Destiny
作者: EcuaGirl
翻訳: Yuki Neco
~~~~~~ 夢の中 ~~~~~~
「誰かいませんか?」 と、声が聞こえた。 その少女の前には闇が広がるだけでなにも 見えなかった。 右を見たが、なにもなかった。 そして、左を見たが、そこにも なにもない。 そして、正面を見ると、突然、これまで見たことのない眩しい 光が目に入った。 あまりのまぶしさに、彼女は目を隠した。
光はなにかの姿に変わり、すぐに消えてしまった。 褐色の髪を、両サイドに 垂らした その少女は、青い目を開くと、目の前に三つの人影を見た。 そのうちの 一つは、黄金の瞳をした翼をもつライオン、二つ目は、銀髪で冷たく光る青い 目をした天使、そして、もう一つは、その二つの影の間に立ち、少女の姿を している。
「誰... なの?」 と、好奇心を持って、その少女は静かに言った。
ライオンと展翅の間に立っている三番目の人影が、ゆっくりと、その震えている 少女に向かって歩いてきた。 その影は、星の杖を持つ少女の姿をしていた。 髪の毛の色は同じように褐色、髪は短く、肩までの長さ、前髪は顔の下まで 下がり、鎖骨のあたりまで達している。 その歩いてくる少女は、 奇妙なコスチュームを着ていた。 その少女が歩いて近づいてくると、 どこからともなく、闇の記号が宙に浮いた状態で現れ、三つの影を取り囲むと、 それらの人影は闇に取り込まれた。
「だめぇぇ!!」 お下げ髪の少女は、その不可思議な記号がすべてを 取り囲んでいるのを見て、怒りと恐れの表情で叫んだ。 突然、何者かが 意地悪そうに笑っているのが聞こえた。 少女が振り返ると、 黒い衣装を着て大きな杖を手に持った人が立っていた。
「幻想の闇の世界へようこそ。 これからあなたはここにとどまり、 あなたのすばらしくも身勝手な考えが、この世界に捕捉されるのです。 すでに、あなたのその世界にいる。 わははは!!」 その人物は、 髪を垂らした少女を指さして、優しさもなさそうに笑った。
「あ! あの人はなにをしてるの?! ::ハッ:: いったい、なにを?!」 そのライオンと天使ともう一人の少女が、古代のヒエログラフのような闇の記号で 取り込まれているのを見て、お下げ髪の少女は恐怖心を感じた。 少女は、ことの成り行きが わかって、息をのんだ。
「そんな! あの人たち、危ない! わたしの夢に取り込まれてるんだ! なんとかしなきゃ。」 と、青い目の少女は叫んだ。 「あの人たちに こんなことしないように、とめなきゃ。」
「わが使いよ、そんなことしようとしても無駄だ!」 と男性の声が聞こえた。 「一度、永遠の闇に取り込まれれば、二度と抜け出すことはできない! 現実を受け入れよ。 そのまま見送るべきだ。 そして、見捨てよ!」
その男は邪悪に笑って、希薄な空気の中に消えていった。 そして、 そのお下げ髪の少女だけが残った。 その主の冷酷な言葉が 頭の中でこだまして、少女は身震いをした。 顔を上げてみると、 ヒエログラフのような記号の中にいた三人も消えていた。 少女は、ハッとして、もう三人を救うのは手遅れだったと気づいた。 彼女は膝をついて、手で顔を覆い、絶望感と裏切られた気持ちを感じて 静かに泣いた。
「独りぼっち... 守られない... 弱い存在。 わたしに、あの三人を助ける ことはできなかった... あの、不思議な闇を止めることも。」 と、彼女は 悲しい思いをした。 絶望的な考えを終えると、どこからともなく蔓 (つる) が 伸びてきて、彼女の足首に巻き付いた。 少女は悲鳴をあげ、 蔓は膝まで巻き付いてきた。
「いや! いやああ!」 お下げ髪の少女は、恐怖で叫び、腰まで巻き付いてくる蔓を ほどこうとした。 「おねがい。 もう放して! こんなところにずっといるのはいや!」
「そんなはずはない。」 と、邪悪な声が聞こえてきた。 「これは、おまえの 闇の運命を試すための課題だと思いたまえ。」
「運命なんてクソクラエよ! 放して!」 少女は怒声をあげた。 少女が もがくと他の蔓が伸びてきて、彼女の手首に巻き付いた。 「放せぇぇ!」
「それはできない! わはははは!!」 と、笑いを発すると、その声は消えていった。
哀れにもその少女は、なす術もなく、闇の世界に通じる大きな ゲートの方に引きずられていった。 彼女は抜け出そうとしたが、 どんなにがんばっても蔓が彼女をしっかりと押さえ込んでいた。
「おねがい... 連れて行かないで!」 と、小さな声で言って、彼女は静かに 涙をこぼし、断末魔が近づいていると感じた。 突然、白い光線がゲートから 発して、次の瞬間に少女に命中し、少女は自分に食い入る闇の世界から消えた。
さて、みなさん! 二ヶ月のブランクとなりましたが、“I Love You” のボーナス章を書いてから、しばらく休んでいました。 さて、この序章ではCCSキャラクターは出てきませんでしたが、 ライオンと天使と杖を持った少女が誰かは明らかですね。 ご心配なく。 さくらちゃんたちは、次の章の前半や、その後でちゃんと出てきます。 謎の青い目の少女の正体も次の章で明らかになります。 ここまでの話はどうでしたか? ちょっと悲しくて、暗い序章でしたが、 すぐによくなりますよ。 絶対に! では、次の章で! ^___^
- EcuaGirl