第3章に入る前に、私のフィックを呼んでくれる人たちに感謝します。 誠意的にも私の作品を見てくれる人たちが大好きです。 (涙) 私の作品にファンがつくなんて思ってもみませんでした。 さて、 私がまた涙ぐまないうちに始めちゃいましょう。 ちょっと長くなって ごめんなさいね! ^_^ ここで、嬉しいお知らせ: この章で最後ではありません!

- EcuaGirl

I love You

作者: EcuaGirl
翻訳: Yuki Neco

Rating: PG-13

第3章: 夢が現実に

***** 午後 1:35 – ペンギン公園 *****

二人の若者 (さくらと小狼) はキスを続け、茂みの影から知世が ビデオで撮影をしていた。 知世は、自分自身が目の前で繰り広げられる ラブシーンをまさに撮影しているなんて信じがたい気持ちだった。 親友が ずっと、こんなことをもくろんでいたと知ったら、さくらちゃんは、 すごく驚かれることでしょう! それから2分経って、さくらと小狼は 甘美なキスをやめて、見つめ合った。 最初にさくらが話し出す。

「小狼くん。」 と、さくらはつぶやいた。 二人の顔は5センチくらい離れ、 まだ、紅潮していた。 自分が一番好きな人が、4年ぶりにやって来て、 再会しているなんて、さくらには信じがたかった。 さくらは小狼の 褐色の瞳を見て、「これは夢だわ。」 と言った。

「どうして?」 と、小狼が訊き返す。

「だって、小狼くんがここにいるなんて信じられないもん。」 と、誇らしげに 言うと、さくらは小狼に抱きつき、小狼の方に顔を押しつけて泣いた。 褐色の 瞳のその少年は、彼女のすすり泣く声を聞き、頬をつたう涙を見た。 小狼は、 さくらの顎に手をおき、自分の顔を見せた。 その涙は、悲しみの涙ではなく、 嬉し涙であった。 さくらは微笑んで、小狼に会えたことが嬉しいと表現する。 小狼は指先で、涙がつたうさくらの頬をなでた。 小狼は親指で、さくらの目元に たまっている涙をぬぐい去った。 若い二人は、見つめ合っていると、 なにを考えたらいいかわからなくなっていた。 そうしていると、草むらから カサカサという音が聞こえ、二人の思考を妨げた。

「え?」 と二人は反応し、小狼はさくらの顔から手を放し、二人は 体を離した。

「なにか音が聞こえた?」 とさくらが尋ねる。

「ああ、あの草むらからカサカサと。 なにかわからないが、 俺たちの後をつけてきてるみたいだ。」 と、小狼が答えた。 しかし、 二人とも、まさか知世が草むらからビデオ撮影しているとは思いもしなかった。

「そうかなぁ?」

「たぶん、リスとか小動物じゃないとしたら。」

二人はその物音に構わずに、公園を歩き回ることにした。 歩いていると、二人の手は偶然触れ合った。 さくらと小狼は、 その偶然に気づき、お互いの手を離した。 でも、視線までは 完全にそらすことはできなかった。 二人はお互いに相手のことを 考えていた。 さくらは、ついさっきの偶然の出来事のこと だけではなく、前の晩見た夢のことも考えていた。 さくらと小狼は、偶然にも、夢に出てきたペンギン公園にいるのだ。 しかも、夢とまったく同じ服装をしていることにさくらは気づいた。 [作者: まったくの偶然です。 たぶん。] それだから、さくらが赤面しているというわけはなかった。 隣を歩いている カッコいい男の子について なにか違う 感覚を抱くのは、 夢の中で起こったラブシーンのせいだった。

ちょうどその時、小狼も、同じようにさくらのことを考えていた。 どうして今まで、さくらのことを そんなふうに 思っていなかったのか と不思議にさえ思った。 そういうふうに考え、さくらを上から下へと 見渡すと、小狼は桜の花のように赤面してしまい、落ち着こうと必死になる。 赤面や恥ずかしさを抑えようとして、小狼は顔をそらした。 しかし、さくらは 小狼の赤面した顔を既に見ているので、くすくすと笑った。 小狼は赤面して 恥ずかしそうな顔になっていると、さくらは思っていた。 (さくらちゃんは 鈍感でしたよね?)

「赤くなってる!」 と、さくらは歌うような声で言った。 「赤くなった小狼くんって、かわいいって言ったことあったっけ?」 と、 さくらはかわいらしく尋ねた。

「そ... それは... ない。」 と、小狼はどもりながら、顔の紅潮が、 ピンクから真っ赤になっていく。

小狼は、かわいらしく自分を、というよりも、赤面した顔を見ている さくらとどこへ行くわけでもなかった。 小狼は、赤面がおさまり、 振り向いてさくらを見た。 しかし、さくらを見つめ続けると、 そのままおかしくなってしまうだろう。 さくらは、小狼に見つめられて 照れてしまった。 さくらが着ている服が人の注意を惹きつけるということも さくらはわかっていた。 (さくらは知世にそう言ってきたのだが、知世は 聞いてもくれなかった。) 小狼は、自分のやっていることがさくらを 緊張させていると気づいた。 数分経過し、カードの主とクロウの子孫は、 一緒に歩き出し、別れ別れになってからの過去のこととか、他のことについて 話した。 さくらは、小狼に夢の話をした。 小狼が夢に出たとか、熱烈な キスシーンをやったことは話さなかったが。 さくらが話すうちに、小狼は その天使のような声にトランス状態になっていった。

『さくらにまた会えるなんて思ってもみなかった。 きれいで魅力的で、 優しくて、天使みたいで、ああ、触ってみたい... おい! そんなこと考えたらダメだ! まだ俺のことを好きなのかわからない じゃないか。』 と小狼は考えていた。 小狼は首を振って そういう思いを振り払おうとして、最後まで考えないようにした。 そして、 次にさくらが言っていることに注意を向けていなかった。 小狼は、 その女友達 (まだカノジョではない) に対して甘美な想像を続けていた。 ちょうどその時、自分自身の意識でそのような思いも中断する。

『李小狼! なんて失敬な! おまえはクロウ・リードの直系の子孫では ないか。 そんなふうにさくらのことを考えたらダメだ!』

「ぐ...」 小狼は歯ぎしりをし、左右にまっすぐ下ろしていた手は こぶしを握った。 自分自身と理性の間で戦って怒りの表情を浮かべている 小狼をさくらは見た。

『なに考えてるんだ、この変態が。』 小狼の理性が叫ぶ。

「ダメだぁぁ!」 と、小狼は力一杯叫んだ。 小狼は頭のてっぺんを つかんで、膝をついた。 小狼は激しく頭を振って、ギュッと目を閉じた。 さくらはその隣に腰を下ろし、軽く小狼を揺すった。 さくらは本当に心配になり、 小狼が精神的に傷ついているのでは、と思った。

「小狼くん! 大丈夫?」 と叫びながら、さくらは小狼を揺すった。 小狼は、 まだ自分の頭を抑えて揺すっていたので、さくらに返事をしない。 ちょうど その時、草むらの向こうで知世がビデオ撮影していたが、心配そうな 表情を浮かべていた。

「李くんは気が触れてしまったのかしら?」 と知世は思ったが、すぐに、 小狼がこんな行動に出ている理由がわかった。 知世は目の前のシーンを 撮影しながら笑いを浮かべた。 「李くんがこうなった理由がわかりましたわ。 わかりますとも。 ほほほ。」

「小狼くん! お願い、もうやめて!」 と、さくらは、正気を失いそうになっている 小狼に大声で呼びかけた。 さくらの叫び声を聞いて、小狼は次第に 落ち着きを取り戻した。 小狼は頭から手を離し、目を開け、深呼吸をし、 そして、泣き出しそうなさくらを見た。 小狼が落ち着いたのを見るとすぐに、 さくらは小狼に抱きついた。 「小狼くんが無事でよかった!」 さくらは腕を 小狼の首に回して小狼に体を押しつけ、小狼の右頬に鼻をすりつけた。 この 行動で、小狼は狂ったように赤面して、呼吸が速くなった。

「心配させて。」 と、さくらは小狼の頬に向かってつぶやいた。 気の毒に、 その美少女の声が自分に押しつけられて、その少年はもはや、熟したトマトのように 真っ赤になった。 小狼はさくらがほしくてたまらないので、もう我慢できなかった。 (問題は、どうやってさくらを手にするか?)

「さ、さ、さくら! い、い、息が!!」 と、小狼は叫んだ。 小狼はさくらと突き放し、 芝生から出ると、さくらのもとから走り去った。 さくらは、自分の隣から離れ、 どこか別の場所に行く小狼を見た。 さくらは芝生から下りて、なにも言えない様子で 立ちつくしていた。 それから、さくらは小狼を追いかける。 さくらがその壮年を 探し回っている一方で、小狼がせっかくの計画を台無しにしていると思った 知世はショックを受けていた。

『私の計画がこんなになってしまうなんて許されませんわ!』 と、知世は 悲しそうに思った。 『李くんはさくらちゃんを幸せにするのであって、 起こらせてはいけませんわ。』 小狼を見つけようとしているさくらを見ながら、 知世はため息をついた。 さくらが視界から消えると、知世は隠れている場所から 出てきてさくらを追いかけた。 さくらが桜の樹が立ち並ぶペンギン公園の中央に 向かっているのを、知世には見えた。 知世は、親友が小狼を見つけられる ことを願った。

ちょうどその時、さくらは走りに走って息を切らせていたが、小狼を 見つけることができなかった。 理由もなく小狼が自分から走り去ったので、 さくらは悲しい気持ちになった。 さくらはまわりを見渡し、無数の桜の 花びらが風に舞っているのを見た。 さくらは、自分がいる場所に気づいた。 そこは、ペンギン公園の中央で、公園のほとんどの桜の樹が立っていて、 春には花が咲き乱れる場所。 桜の花の香り、新鮮で純粋な空気といった 周囲の雰囲気、さらに、単なる桜の木の形にさえ、さくらは酔った。 さくらはこの配置関係にトランス状態になり、小狼を捜し回っていることを 忘れてしまった。 さくらは、木の陰に誰かが立っていることも気づかず、 緑色の目を閉じ、自分を満たしていく喜びを感じてため息をつく。 依然とトランス状態のようになって、さくらは後ろに歩き、 突然、石につまずいた。

「きゃあ!」 と声をあげ、さくらは地面に倒れた。 ドスという柔らかい音ともに、 さくらは しりもちをついた。 「いたた。」 と、さくらはお尻をさすりながら 声を出す。 さくらが下を見ると、そこにはさくらの花びらが敷き詰められていた。 「これ、夢と同じだ。 ヘンな感じ。」 と、さくらは息をのんだ。 突然、 彼女は黒い人影がゆっくり近づいてくるのを感じた。 その人影は笑いを 浮かべている。 さくらは、自分の方に近づいてくるその気配を感じて 息をのんだ。 さくらはその気配が誰であるか、すぐにわかった。 小狼くんだ! さくらはそのアジア系の少年が笑いを浮かべているのを見た。 敷き詰められたさくらの花びらの上に座っているのを見られて、さくらは 赤くなった。 小狼は、彼女の方を見下ろすと、笑いをやめた。

「どこに行ってたんだ、さくら。」 と、小狼は驚いている少女に 質問した。 「おまえが来るのを5分も待ってたんだぞ。」

「ほえ? あたしを待ってたの?」 と、さくらは尋ねた。 小狼は流し目をして、 自分の腰に手をおいた。

「あたりまえだ!」 と、小狼はしびれを切らせたように答えた。 さくらは傷ついたような表情で下を向いた。 小狼は、自分の答え方でさくらが 不安になっていると気づいた。 その緑色の瞳の少女は少しだけ顔を上げて、 かわいらしく、小狼にふくれっ面をして見せた。 その栗色の髪の少年は ため息をついて、彼女の方へ数歩、歩んだ。 さくらが膝をついて、 自分のハチミツ色の髪の編み込んだ部分を右手でかき回しているのを、 小狼は見た。 左手はまだ、積み重なるさくらの花びらの上において、 さくらは、少し後ろにもたれかかるような姿勢をしていた。 さくらは かわいらしくふくれっ面をして、子犬のような潤んだ目をして、 ゆったりとした姿勢に身を置いた。 小狼は頬を染めたが、さくらが傷 ついたことを思って、決まり悪そうな表情をした。 そして、さくらと一緒に 地面に座ろうと思っていた。

「あの... 俺も... 座っていいか?」 と、小狼は落ち着かなさそうに どもった。 さくらは微笑んで、うなずきながら、隣に座るように合図した。 しかし、小狼は座らないうちに、さくらを崇めるように見た。 さくらの ピンクの上着は体の曲線を表し、ミニスカートがさくらのしなやかな 脚線を表しているのを小狼は見た。 小狼は、自分の頬の熱が上昇し、 呼吸が浅くなっているのを感じた。 一方、さくらは、待ちきれないような 気持ちになっていた。

「ねえ、小狼くん、ここに座るの? 座らないの?」 と、さくらは待ちきれずに 尋ねた。 小狼は、たまらず笑いを浮かべ、さくらはかわいらしく起こった 表情をして、小狼の笑いが止まった。 それで、小狼は深呼吸をして、 そのハチミツ色の少女の前に腰を下ろした。

ほんの少しの間、カードの主とかつてのカードキャプターの間に 沈黙が漂った。 そして、小狼はさくらの手首をつかんで、 手を自分の唇にもっていった。 小狼はさくらの両手に優しくキスをして、 その手をさくらの膝の上に戻した。 さくらは小狼の行動に驚いて、 顔中が火照る。 小狼はさくらのエメラルド色の瞳をのぞき込み、 愛情、純粋さ、あどけなさを感じた。 やさしい風がさくらの髪を吹き流し、 さくらを美しい天使のように変えるのを見て、小狼は嬉しくなった。 さくらは、小狼がカッコよく、そして、神秘的に見える前髪の具合を 見て、前髪が目を隠しているスタイルを好きだと思った。 そして、 小狼の褐色瞳から感じる印象—かつて冷たいと思ったが、 いまでは暖かくて優しい感じ—を気に入っていた。

「きれいだ、さくら。」 と、小狼は自分の呼吸に反するように 低い声でつぶやいた。

「そう?」 とさくらは、小狼の声に驚いて、ゆっくりと尋ねた。

「どわ! あ... その...」 と、小狼はどもって、真っ赤になった。 まさかさくらに聞こえているとは思っていなかったのだ。

「それって... あたしが... きれいってこと?」 と、さくらは 恥ずかしそうに訊いた。 さくらは顔を赤くしてうつむき、髪の毛を いじっていた。

小狼は真っ赤になり始め、さくらの瞳の奥をのぞき込みながら微笑んだ。 彼は ゆっくりと さくらの頬やあごを触った。 小狼はさくらの顔を手で押さえて、 自分の顔に近づけて、目の高さを合わせた。 二人はこの後どうなるのかを 予測して、真っ赤になった。 二人はゆっくりと目を閉じ、お互いの顔を 徐々に近づけて... さくらは、唇に小狼の息を感じた。

「さくら... 俺は... 俺は...」 と、小狼は静かに囁いた。

「小狼くん...」 さくらは、二人の唇がちが付いている間、 つぶやいていた。 「あたし... 小狼くんが...」

突然、二人の唇は重なり合う。 さくらの手は小狼の首を押さえ、小狼は、 むき出しになったさくらの肩に手をおいている。 [作者: さくらちゃんは、襟と袖のない上着を着ています。] そして、小狼はさくらのしなやかな腕に指を上下に動かした。 二人は、カメラを持った少女が新しい隠れ場所から 二人を撮影していることには気づいていなかった。 (誰のことだかわかりますね?)

「まあああ! だんだん よくなってきましたわ! いいですわ、いいですわ! お〜っほっほっほっほ!」

知世はその十代のカップルを見て密かに笑っていた。 「そこですわ、さくらちゃん。 今ですわ、李くん。」 と、間抜けな 笑みを浮かべて、知世は嬉しそうにそう思っていた。 [作者: だんだん知世ちゃんがヘンになってきましたね? ^_^]

『これって... 夢のまんまだ!』 と、さくらは小狼とキスを続けながら思った。 「ひょっとして、夢がホントになってる?」

二人のキスが甘く優しいものから、情熱的になっていくと さくらはそれ以上考えることができなくなった。 さくらは腕を小狼の首に回し、 指で小狼の栗色の髪の毛を撫でた。 小狼は腕をさくらの腰に回す。 (だんだんさくらの夢っぽくなっています。) ...中略... 小狼は、 さくらの背中を優しくさすり、さくらは依然と指で小狼の髪をいじっていた。 突然、さくらは背中を下ろし、ついに、敷き詰められた桜の花びらの 上に仰向けになった。 二人の16歳は花びらの上に横たわり、小狼がさくらの 上に覆い被さっている。 「小狼くん...」 さくらは小狼の髪を撫でながら声を漏らした。

...中略... その時、 大きなブザーの音が鳴り、二人はわれに返った。 二人がキスをやめると、 女の人が二人を笑っているのが聞こえた。 小狼とさくらが振り返ると、 ハンディカムを持った黒髪の少女が立っていた。 犯人の正体に気づくと二人はハッと息をついた。

編集者: 一部の描写を省略しております。

「知世ちゃん、なにやってんの?」 と言うと、二人はサッと身を離して立ち上がった。 知世は、二人が狂ったように赤くなっているので、大声で笑った。

「なにって、見てのとおり、ビデオを撮っているんですわ。」 と、知世は 両手でカメラをつかんで誇らしげに答えた。 「さくらちゃんと李くんは本当に かわいらしいカップルですわ!」 と、知世は目をキラキラさせて声をあげた。 小狼とさくらは冷や汗をかき、サンキスト・ストロベリーのように真っ赤になった。 「こんな一度しかないようなチャンスを撮影できてラッキーですわ! 『さくらちゃん 初めてのロマンチックな再会劇』 というタイトルで いきましょう。 おほほほほほ!」

さくらと小狼はアニメのように、芝生の上にズッコケ、それを見た知世は くすくすと笑っている。 二人は芝生からおり、最初に小狼が喋った。

「大道寺!! 放っといてくれ!! どうして俺もさくらもプライベートな 時間をもっちゃいけないんだ?!」 と、小狼は知世を睨んで大声を出した。 小狼に睨まれたからといって、知世にとっては何でもなかった。 というのも、 小狼がそう言うだろうことは、知世にはお見通しだったからだ。 知世は 小狼に意地悪な微笑みをする。 小狼は、知世が最後の文を聞いたんだと 認識し、真っ赤になり、一方、小狼の言葉を聞いたさくらも真っ赤になっていた。 この時、小狼は自分の理性を相手にもう一つの精神的戦いをしていた。 小狼は、また、自分の頭をつかんで膝をつくように崩れた。 なにが起きたかを見ると、 さくらは小狼の脇に腰を下ろし、小狼の肩に手をおいた。 知世はすかさず ビデオカメラの電源を入れ、小狼とさくらをズームした。 そのアジア系の少年は、 カメラに赤いランプが灯っているのを見て、十代の恋愛スパイを睨んだ。

「大道寺!! それを消してくれ!!」 と叫びながら、小狼はカメラの レンズを手で押さえた。

「それじゃ、李くんとさくらちゃんの激しいキスシーンを、さくらちゃんの お兄様に見せてもいいんですね。」 と、意地悪そうに知世は小狼に尋ねた。 さくらは真っ赤になって、親友の質問にハッとした。 既に怒っている小狼は ますます赤くなった。 その日、彼は、もうこりごりというくらい恥ずかしい 思いをした。

「消してくれ! 消してくれ! すべて!」 と、クロウの子孫は、起こったアニメ顔で 大声を出した。 それを見た十代の少女二人はひきつった笑いを浮かべた。

***** 午後 1:55 – 屋外 *****

三人は公園を出て歩いていた。 さくらと知世が横に並び、その後ろを 小狼が桃色に頬を染めて歩いていた。 黒髪のカメラ少女は さくらになにかを話している。

「で、さくらちゃん、サプライズプレゼントは喜んでいただけましたか?」 と知世が言うと、さくらはなにを意味しているかわかり、息をのんだ。

「知世ちゃんが... 小狼くんを呼んだってこと...?」 と、さくらは どもりながら行った。

「はい! そうですわ! わかってのとおり、これが必要だったのはさくらちゃんだけ じゃなかったんですよ。 もちろん、李くんも。」 と、何も知らないさくらに 知世は答えた。

二日前、知世は香港にいる小狼に電話して、さくらを喜ばすための サプライズ・イベントを考えていることについて話をした。 最初、 小狼は乗り気ではなかったので、知世は、小狼に他に好きな人がいて うまくやっているのか訊いてみた。 そうではなく、小狼もすごくさくらに 会いたいといった。 それで、最初はペンギン公園でさくらを待っているようにと、 知世は小狼に言った。 それから、さくらに電話して公園の外で待っているように 言ったのだが、小狼がさくらを待っていることはワザと言わないでいた。 それから、さくらが本当にきれいに見えるように、さくらのために いくつかの衣装を選んでおいた。 最後に、その次の日、知世はさくらと一緒に 行けなくなる口実を作った。 もちろん、この計画は、さくらが本当に好きな人と 楽しく過ごすために、念入りに計画されたものだった。 (しかし、一つだけ 問題が発生した。 知世の口実は現実になり、2時半以降、S+Sビデオの撮影は できなくなった。) [作者: 本当にいい友達ですこと、ふっ!]

その二人の十代の少女が話している間、小狼は自分の考えが わからなくなっていた。 小狼は、さくらが本当に自分を好きなのかが わからなくて、四年経った今も自分を好きなのか知りたいと思っていた。 その褐色の瞳の美少年は深く考え込んでため息をつくが、その時、 頭の中に考えが浮かんだ。 彼は顔を上げて、目の前にいる 自分が恋する少女の方を見た。

『さくらをデートに誘ってみるんだ。 そうだ! ひょっとすると... 最後に会ってから4年経ってるんだ。 今夜電話して確かめよう。 誘いを受けてくれればいいけど。』 小狼はさくらに微笑みながら、 そんなことを考えていた。 『ただ一つ心配なのは、あの兄貴が 最初に電話に出ないかということだ。』 小狼は微笑みから、しかめっ面に 変わって考え込んでいる。 突然、さくらの手が小狼の手に触れた。 小狼は顔を上げて、その美少女の顔を見た。 ちょうど、さくらを自分の カノジョのように思った小狼は、真っ赤になった。

「小狼くん? あたしと知世ちゃんと一緒にアイスクリーム食べに行かない?」 とさくらは訊いた。

『おまえとなら、どこにでも。』 と、ロマンチックなことを考えているが、 「ああ... 別に、いいけど。」 と、小狼はぶっきらぼうに言って、感情を 顔に出さないようにしたが、失敗した。

「やったぁ!」 と、さくらは嬉しそうな声をあげ、知世は笑っているし、 小狼は赤面していた。

さくらは小狼の手をとって一緒に歩き出した。 知世は、片手にカメラを持ち、もう 片手でポシェットを持って、二人の後について歩いた。 16歳の三人は、 アイスクリーム屋の方角へ歩いていき、そこで二人の大人が、レストランの テーブルの脇から彼らを見ていた。 一人は銀髪に眼鏡をかけ、もう一人は 黒い髪に黒い目をしていた。二人は23歳で、ウェイターの格好をしており、 ちょうどテーブルを拭き終えたところだった。

「おい、桃矢。 そこにいるの、さくらちゃんとお友達だよね?」 と、眼鏡をかけた方がさくらを指さして尋ねた。 黒髪の男は、顔を上げて、 親友が指さす三人の少年と少女をみた。 目を細めてよく見ると、 さくらと知世と小狼が見えた。 その三人目がさくらの手を握っているのを見て、 桃矢は息をのんだ。

「ダメだぁ! まさか... あんのガキがぁ!」 桃矢は、さくらの手をとる 小狼を見て、怒りに震えて声を出した。 その友達の雪兎は、桃矢の 反応を見て心配になった。

「ささ、桃矢。 さくらちゃんたちのことはいいから、テーブルを拭いて しまおうよ。」 と、雪兎は優しく声をかけた。 しかし、桃矢は 気を静める雰囲気ではなかった。 桃矢は、すぐ駆けつけて小狼の 尻を蹴飛ばしたい気持ちでいっぱいだった。

「信じられん! もう二度と会うことないと思ってたのに! ダメだ! あいつ、さくらをたぶらかしに中国から来やがったんだ!」 桃矢は怒った様子で、タオルをこぶしに握り、叫んだ。 雪兎は、 さくらが男の子と会っているのを、この過保護な親友が見るとどうなるかは わかっていた。

「桃矢、まだ、6年前の李くんとさくらちゃんのこと考えてるのかい?」 と、雪兎が訊いた。 「李くんに抱いている恨みを早く捨てて、さくらちゃんと 李くんを幸せにできないかなぁ?」

「ダメだ! あのガキがいる限り、あいつは絶対にさくらを傷つける! わかってるんだ!」 と、木之本家の長男は答えた。

『あちゃ〜! でも、後で後悔するようなことだけはしなければいいんだけど。 二人を別れさせようとしたりとか...』 雪兎は、心配そうに、 そして悲しそうにそう思った。


作者 記

あらら! 本当にさくらちゃんのお兄さんが S+S を別れさすようなバカなこと しなければいいですね。 で、第3章はどうでしたか? 前に言いましたが、これは最後の章ではありません。 ということは、 第4章が最終かも...

最初、これはワンショット (短編) のつもりで考えてました。 でも、 3章構成になり、今では4章に。 さてどうなるのでしょうね〜

-EcuaGirl

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