I love You

作者: EcuaGirl
翻訳: Yuki Neco

Rating: PG-13

あらすじ

さくらと小狼は12歳の時以来、会っていなかった。 あれから4年経つものの、 さくらは、小狼の夢を見たり、考えたりしつづけていた。 ある晩、 さくらは、小狼と一緒のロマンチックな夢を見るが、 次の日に現実の出来事に。

免責事項

作者は、Cardcaptors のキャラクターに対して いかなる権利ももっていません。 キャラクターの著作権は Nelvana および 講談社に帰するものであり、 カードキャプターさくらの著作権は CLAMP が所持しています。 また、 Faith Evans の “I Love You” という曲に関しても、 作者は一切関与していません。

記号

「文字列」 – 台詞
『文字列』 – 思ったこと
文字列 – 歌詞
[作者: ---] ] – 作者 注釈
~*~*~* – 回想シーン
~~~~~~ – 夢の中のシーン
***** – 場面の切り替わり

第2章: 不思議な衝撃

***** 土曜日 7:45 – さくらの家 *****

* 目覚まし時計が鳴る。 *

"さくら、おきろ!" ケロがうるさそうに言った。

"うわぁぁ!!" ケロが耳元で大声を出すので、さくらは起きあがって、 悲鳴を上げた。 ケロはさくらの目の前にいる。 さくらがあまりにも 大きな声を出すので、ケロは後ろに飛ばされ、ボテという音を立てて 床に落下し、目を回している。 さくらは、どうしたことかを理解すると、 目を回しているぬいぐるみのような生物を抱き上げた。

「ごめんね、ケロちゃん。」 と、囁くと、さくらはケロの額にキスをした。 「ホントに、ごめんね。」

「ま... 別にかまへんけどな。」 と、ケロは皮肉っぽく言った。

「そんな言い方しないでよ。 ごめんって言ってるじゃない。」 と、さくらは ケロに言った。

「ゆうべはやかましかったで。」 と、ケロは答えた。 「うなされて、 小僧の名前をゆうとってから、わいはまったく眠れんかった!」

「ごめんね。 その、小狼くんが出てくる感動的な夢を見てたの。」

「エッチな夢やないんやろな。」 と、ケロは息を殺して小声で言った。

「なんか言った?」 と、さくらは疑いの眼差しでケロを見る。 実は、ケロが 言ったことは、さくらには聞こえていた。 その答えを聞かないうちに、 さくらを呼ぶ声が聞こえた。

「さくらさん、朝ご飯ですよ!」 藤隆の声である。

「は〜い!」 と、さくらは返事をし、ケロを机の上に置き、 ベッドから出た。 さくらはパジャマを脱いでシャワーを浴びに行き、 それから、歯を磨いて、部屋に戻ってきた。 クローゼットから 洋服を取り出して、デイジー模様が正面にプリントされたピンクの Tシャツ、青いデニムのスカート、白い尽くしたとスニーカーを選んだ。 服を着替えて、セミロングの髪をブラッシングして、身支度をした。 さくらが 鏡で自分の姿をチェックしていると、ケロはさくらの方のところに飛んできた。

「さくら、ホットケーキもって来てぇな。」 と、ケロはさくらに お願いをする。 「わいは、お父はんの料理が大好きなんや。 特に ホットケーキが。」

「わかった、わかった。 ほえ? あたしの料理は好きじゃないの?」 とさくらは訊いた。

「そういうわけやないけど、なんつーか... さくらのは焦げ臭いからな。」 と、 笑いながらケロは答えた。 さくらはそんな答えをされたくはなかったけど。

「なんですって〜?」 と声をあげながら、さくらは、半ばアニメのような 握りこぶしをあげた。

「冗談や。 あははは!」 とケロは笑っている。

「もう... わかったわ! 今週はおやつも、テレビゲームもなしね!」

「そんなぁ〜!! お願いや〜。 もうそんなこと言わんから!」

「いいわ。 ホントに約束だからね。」 とさくらはため息をついた。

「大丈夫や、さくら。 まかしとき。」 とケロは返事をした。

さくらは朝食を食べにキッチンに下りて行った。 そこでは、藤隆が さくらを待っていた。 桃矢がいないと寂しいといいながら、 家族の朝食をとった。 [作者: このフィックでは、 桃矢は 23歳になり、 家を出て、一人で生活している。]

「お父さん、なんかヘンな感じだね。」 とさくらは言った。

「なにが?」 と、藤隆が訊く。

* ため息 * 「お兄ちゃんがいないと寂しい...」

* 笑う * 「本当だね。 確かに寂しいね。」 と言って、藤隆はさくらが 微笑むようにさそい、自分も微笑みを返した。

[作者: され、S+S ファンはロマンスを期待しているでしょうから、 シーンを飛ばします。 もうちょっとがまんしてね。 ロマンスはもうすぐですよ。]

***** 午後 12:55 – さくらの家 *****

朝食を食べてからもう5時間、12時半に知世が来ることになっていたのだが、 12時55分になった今でも、まだ、さくらは知世を待っていた。 親友が 25分も遅れているということで、さくらは心配になっていた。 具合でも悪く なったのかな? 両親が忙しいとか? 新しいクロウカードが現れて、 知世ちゃんを捕らえちゃったとか? すべてのクロウカードが集まって、 すべて変換された今となっては、最後の心配事だけは起こりそうにない。 突然、電話が鳴り、さくらがいろいろと考え事をしているのが、 中断する。 藤隆が受話器をとり、電話に出た。 木之本家に電話してきたのは 知世だった。

「もしもし、木之本です。」 と藤隆が話す。 「ああ、知世さん... はい... はい... さくらさんならいますよ。」 藤隆は振り返って、知世から電話がかかったとさくらに言った。 さくらは素早く、藤隆から受話器を渡してもらう。

「もしもし、知世ちゃん?」

「あ、さくらちゃん!」 と、電話の向こうからかわいらしい声がかえってきた。

「知世ちゃん、どうして、25分も前に家に来てくれなかったの?」 と、 さくらは訊いた。

「あの... さくらちゃん、今日はお買い物をして、お兄様のお店で食事をして、 ペンギン公園に行くことになってましたわね。」

「うん...」 さくらは、今日、知世が来れないのではと言ういやな予感がしていたが、 その予感は運悪くも当たってしまった。

「今日は行けなくなりました。 今日は、お母様と一緒に、別の町にいる 親戚の家に行くことになったんです。」 と、悲しそうに知世は答えた。

「別にいいよ。 また、別の日にしよ。」 と、あっさりと さくらは言った。

「私にいい考えがありますの。 他の方と行かれてはどうですか?」 と、知世は望みありげに言った。

「誰と?」

「えっと...」 知世は、さくらが知り得もしないようないい作戦を 考えていた。 親友に、これまで経験したこともない突然のプレゼントを しようとしていたのだ。 そのために、まず、知世はさくらが着る洋服を 届けることに。 それも計画の一つだった。 そう考えただけで、 知世の口から笑いがこぼれて、電話口のさくらに聞こえてしまう。

「と、知世ちゃん?」

「あ、さくらちゃん?」 そう言う知世の目は、既にキラキラしていて、 さくらはたじろいでしまう。

「なにを考えてるの?」 さくらには、電話ごしに知世が笑っているのが 聞こえていた。

「ちょっとだけ、家に寄ってくださいませんか? 着ていただきたい お洋服あるんです。」 と、カメラマニアの若いファッションデザイナーは 嬉しそうに目を輝かせながら言った。 「2時半になったら、別の町に 行かないと行けないので。」

「いいよ。 そんなフリフリの衣装じゃなかったら。」 と、さくらは答えた。

「大丈夫ですわ。 気に入っていただけますわ。」 と、知世は声をあげた。 「きっと彼も気に入ってくれますわ。 彼の反応もビデオに撮ってみたいですわ。」 知世は、妙なことを考えながら笑っていた。 「私の考えはパーペキですわ。」

***** 午後 1:10 – 知世の家 *****

さくらは知世の家に来て、新しい洋服を二つほど試着した。 知世が さくらにドッキリを仕掛けようとは、さくらはまったく気づいていない。 その洋服と、さくらが会う謎の人物は、そのカメラ少女の計画の 中心要素だった。 さくらが試着室から出てくると、知世は自分が デザインした洋服を見ながら、目をキラキラさせた。 さくらが来ているその服が、ゆうべの夢で見た服とまったく同じだと 気づいて、さくらはハッとした。 [作者: 第1章にその服の説明が書いてあります。] (ピンクの上着、花模様のミニスカート、ひまわりのサンダル。) さくらにそんな丈の短い服を着せて、知世は何か企んでいるのでは、 と思うと、さくらは赤くなった。 その二人のうちのもう一方は、 そんなことを、まったく気にする様子もなかった。

「まぁ、さくらちゃん、かわいすぎますわ!!」 知世は、目に星を浮かべ、 両手を会わせて、甲高い声で言った。 「カッコいい男の子に デートに誘われているところを見てみたいですわ。」 知世がそう言ったので、さくらはハッとした。 小狼のことを忘れさせるために、 知世は、さくらにブラインドデート (知らない相手とデートすること) を セッティングしたのでは、とさくらは思った。 知世も、 さくらが、そのことを言うのではないかと思っていたので、 先に喋りだした。 「さくらちゃんの気持ちはわかりますが、わたしを 信じてください! これは さくらちゃんのためなんです! でも、 さくらちゃんは、わたしがクラスの誰かとさくらちゃんを会わせようと してるって思ってますよね。」

さくらは少しだけ考えて言った。 「知世ちゃんは、あたしに、小狼くんを 忘れほしいんだよね?」 その質問に、親友はハッと息をのんだ。

『さくらちゃん、まだ、これから何が待っているかは気づいてらっしゃら ないみたいですね。』 と、知世は思い、それから答えた。 「バカなこと おっしゃらないで。 私はこれから別の町に行かないといけないので、 かわりに他の人と楽しんで来てほしいだけですわ。」 さくらは、親友が 言ったことを考えてみた。 でも、次の衣装を目の前に置かれ、 その考えも妨げられる。 黒のホールター (背と袖がない服) と、両サイドに 12〜13センチのスリットがある黒いスカートと、シルバーのストラップが ある靴と、上に羽織るシースルーのシャツは、どう見ても、さくらに 試着しろと言っているとしか思えない。 純粋な少女には、カメラマニアの 少女が何を計画しているか知る由もなかった。

***** 午後1:30 – 外 *****

さくらは最初に着た洋服を着て、ポシェットにカメラを忍ばせた知世と 一緒に、ペンギン公園の近くまで歩いていった。 公園の近くに来ると、さくらは、よく知った気配を感じた。 普通とはちがう気配をもった誰かが友枝町に近づいてきているような。 「誰かがいる。 気配がするの。 緑色の... 気配。 まさか。」 さくらは 立ち止まって、知世を見てそう言った。

「知世ちゃん、よく知っている人の気配がする。」 と、さくらは言った。 「ここで待ってて。」 そう言うと、さくらは気配をたどってその場を離れた。 その謎の人物が来ていることを知世は知り、その時間が来るまで、 隠れていることにした。 さくらは気配がする方に向かって走っている。 公園の奥に行くほどに、気配は近づいてくる。 突然さくらは、よく知った 気配の人にぶつかった。 その人は、さくらが倒れる前に、手首をつかまえた。 そして、さくらはその人の顔をもう一目見て、誰を見ているのかがわかった。 目の前に立って彼女の手首をつかんでいるのが、褐色の目をして、 無造作な栗色の髪をした中国系の少年であると気づき、さくらは息をのんだ。 明らかに、彼は李小狼、16歳の元カードキャプター、以前会ったこともない かのように、さくらを見つめていた。 (小狼もさくらの夢で出た服を着ている。) [作者: 小狼くんの服は、緑色のシャツに、デニムのジャケット、 青いジーンズに、白いスニーカーです。]

「小狼くんなの?」 と、さくらは、そのアジア系の少年に問いかける。

「さくらか?」 と、小狼は、碧色の瞳の美少女に問う。

二人は4年ぶりに会ったのだということを実感した。 小狼は、 さくらの手首から手を放し、数歩、後ずさりした。 二人は、 お互いの見た目の変化を意識して赤面した。 小狼は、ますます格好 よくなって、背も伸び、たくましくなっていた。 一方、さくらは よく発育した魅力的なカードの主に成長していた。 まさに、さくらは 男友達 (まだカレシではない) の目の前に立っているので、 するべきことが一つあった。 彼を抱きしめることが。

「小狼くん! 会えて嬉しい!」 さくらは大きな声を出して、小狼の首に 腕をまわした。 それから数秒の時間を要したが、小狼は、そのおかえしに、 その美少女のウェストに腕を伸ばした。 さくらは小狼の方に頭をもたれ、 うれし涙をながしながら静かに泣いた。 本当に好きな人が戻ってきて、 彼女は嬉しかった。 小狼は、さくらのすすり泣く声を聞き、 自分の顔を見せるように、さくらの顎を持ち上げた。 さくらのかわいらしい 顔に涙が流れているのを小狼は見た。 間もなくカノジョになる少女を 自分が泣かせてしまったのかと、小狼は疑問に思った。

「さくら、大丈夫か?」 と、心配そうに小狼は訊いた。 さくらが微笑みかけると、 その心配も吹き飛んだ。 微笑みながら、さくらは最愛の人の瞳をのぞき込む。 それから、小狼は、少女のエメラルド色の瞳を、どうしてそんなステキな 緑色の瞳をしているのかと思いながら、のぞき込んだ。 その美形のアジア系の 少年は、さくらを抱きしめ続けながら、さくらの顔に残った涙をぬぐった。 [作者: 愛する二人はずっと抱き合っています。] 気づくとお互いの顔は、5センチくらいまで近づいていた。 それで、小狼はこのような状況でとるべき行動を、つまり、顔をさらに近づけ、 さくらにキスをした。 小狼の行動にさくらは驚いたが、そのまま、小狼の 魔法にかかっていった。 その中国系の少年の唇が自分の唇の上で動くのを感じ、 さくらは、手で小狼の顔を押さえて、キスを返した。 その16歳のカップルが キスをしている間、草むらの影からカメラのレンズが二人を見ていた。 二人には 知る由もなかったが、撮影をしているのは、少女スパイ 大道寺知世であった。

「かわいいですわ!」 知世は、間もなく恋人同士になる二人の 撮影を続けながら甲高い声を漏らした。


作者 記

第2章はどうでしたか? 面白かったですか? それとも、ダメだった?
私のフィックを受け取ってくださった方々に、この場で感謝します。 (以下の人たち)

Ruby Moon (my favorite authoress), Amanda Panda, Bunny 459, Li Syaoran is so Kakoii, Sheryl V.

よいお知らせ: この話は次の章に続きます。
悪いお知らせ: 多分、第3章で完結です。 短い話でごめんなさい。 建設的な批評は受け付けますが、感情的な言いがかりはご遠慮ください! これは、私の最初に書いたフィックです。 ですから、お手柔らかに。

-EcuaGirl

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