47. さくらと不思議な転校生

最後の審判から数ヶ月後、観月先生はイギリス留学に戻ってしまい、さくらの夏休みも終わり、 新学期を迎える。 さくらのクラスには、柊沢エリオルというイギリスからの転校生がやってきた。 エリオルには大人びた落ち着きがあり、さくらはどこかで会ったような気持ちになる。

昼休み、さくらが観月先生に手紙を書いていると、エリオルが歩いてくる。 エリオルは、生まれる前にどこかで会ったのかもしれないと言って、さくらと同じ気持ちだと言った。 二人の様子を遠くからうかがって、小狼は顔から蒸気を出して嫉妬している。 小狼は嫉妬心から、クロウカードがすべてつかまったが、香港に帰るのを取りやめる。

さくらたちは学校からの帰りに桃矢と雪兎に会うが、桃矢は疲れた様子で誰かを避けているようだった。 さくらのクラスのように、その日、桃矢の暮らすにも転校生が来たと桃矢は言った。 突然、女の子が桃矢に飛びついてぶら下がる。 その子がその転校生で、 雪兎を攻撃的に睨んでいる。

さくらが家に着くと雨が降り始める。 クロウカードの本が突然光り、さくらとケロはクロウ・リードの気配を感じる。 クロウは、これから迷惑をかけるかもしれないと言っている。 不思議なことに、友枝町が雨だというのに、 隣町は星空が見えているらしい。 さくらは周囲に怪しい気配を感じている。

さくらと知世とケロは、怪しい気配を調べにペンギン公園に行く。 すると、雨が竜のような姿になってさくらに襲いかかる。 さくらは封印の鍵を取り出して呪文を唱えるが、魔法がまったく効かない。 何度やってみても、鍵が杖に変わらない。 ケロはさくらに、次の日、雪兎を家に呼ぶように言う。 ケロはユエと話すことがあるらしい。

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48. さくらとめざめた星の鍵

友枝町だけに、前の日から以前と雨は降り続く。 さくらは雪兎を家に呼びたいと思って、桃矢に言うと、桃矢が雪兎を誘ってくれると言った。

鍵が杖に変わらなかったことを悩んでいると、エリオルがさくらを元気づけようと、一輪のコスモスの花を手渡す。 次の瞬間、小狼がエリオルを怒りの形相で睨む。 その後、校舎の入口で、さくらが小狼に前の晩のことを話していると、それを桃矢と雪兎が高校の廊下の窓から見ている。 桃矢が雪兎になにかを話そうとすると、奈久留が現れて話を遮る。

その晩、雪兎はさくらの家で、さくらと桃矢と一緒に夕食を食べる。 夕食が終わるとすぐに、桃矢はバイトに出かけた。 ケロは一階に下りてきて、雪兎の内部からユエを呼び起こす。 ケロベロス (真の姿) はユエに、昨晩の戦いのときに感じた気配が強い力で、自分たちがよく知っている力のようだと話す。

さくらとケルベロスとユエと知世は、再挑戦のため、ペンギン公園にやって来た。 すぐに雨の攻撃が始まり、強い力で、ケルベロスとユエは押さえ込まれてなにもできなくなる。 さくらは再び鍵に魔法をかけようとするが、鍵は杖に変わらない。 逆に、さくらは竜巻のような雨の柱に飲み込まれてしまう。 息ができなくてもがいていると、みんなも同じように飲み込まれているのが見える。 激しい悔しさを感じた瞬間、さくらの周囲に魔法陣が、クロウ・リードのものではない魔法陣が浮かび上がった。 新しい杖が、太陽でも月でもない、 さくら自身の星の力でできていることを思い出し、さくらは星の力の呪文を唱え、ついに鍵は杖に変わった。 竜巻の中から逃れるとすぐに、さくらはファイアリを使おうとするが、カードが発動しない。 クリアしないといけないもう一つの問題... さくらはクロウカードを星の力で支配するための魔法を考え出し、カードを変換した。 変換されたファイアリは、竜巻のような雨に絡みつき、仲間を閉じこめる水をすべて蒸発させる。 仲間を救出すると、さくらは疲労で、その場で寝入ってしまう。 その時、怪しい三つの人影が、にやりと笑いながら、さくらたちを見ていた。

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49. さくらとキケンなピアノ

クロウカードを星の力のカードに換えて疲れ切ったさくらは、翌朝になっても 起きあがることができない。 桃矢と藤隆は、さくらのことを心配しながらも、 学校や仕事に向かう。 しかし、桃矢には、さくらに何が起きているかは、 なんとなく察しがついていた。 二人が出かけるとさくらはぐっすりと眠り、 目が覚めると午後3時になっていた。 ちょうどその時、学校帰りの知世と小狼が さくらの家に寄ってくれた。 二人は家庭科で作ったお菓子をもって来てくれた。 知世と小狼が、どうしてさくらがこんなに疲れ切っているのかわからないので、 ケロは、カードを変換するためにさくらは大きな魔力を必要としていることを説明する。 新しいカードはさくら自身の力によるものなので、知世はそのカードを 「さくらカード」 と名付ける。

次の日の昼休み、さくらは音楽室からピアノ曲が聞こえてくるのに気づいて、 行ってみると、そこにいたのはエリオルだった。 その直後、拍手をしながら、 知世が曲をほめたたえて、教室に入ってくる。 さくらが、エリオルの伴奏で 知世に歌ってほしいとお願いをすると、二人ともそれを引き受けてくれた。 二人が奏でる曲にさくらがうっとりしている間に、エリオルはピアノに魔力を仕掛ける。

その日の放課後、さくらと小狼が二人で教室に残っていて、さくらは知世が 合唱コンクールのための練習を終わるのを待っている。 突然、ものがぶつかる音と、その直後に知世の叫び声が聞こえた。 二人が音楽室に駆けつけると、ピアノが宙に浮かび、その前で知世が怯えている。 ピアノが知世に向かって突進し、さくらは間一髪、知世を助け出す。 三人が廊下に出ると、ピアノも後を追って教室から出る。 小狼が雷の魔法を使うと、ピアノはおとなしくなったように見えたが、 知世が声を出すと、また追いかけてきた。 まるで、知世の声を追いかけているかのように。 三人は階段を駆け上がり屋上に出る。 その時、さくらは名案を思いついて言う。 ソングのカードに知世の声で歌ってもらえば、ピアノがカードを代わりに襲ってくれると。 さくらの思ったとおり、狂ったピアノは階段を上がって屋上に出ると、 金網の向こうにいるソングめがけて突進し、そのまま地面に落下して壊れてしまう。 作戦がうまくいって安心したさくらは、疲労のせいで眠り込んでしまう。

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50. さくらと小狼と見えない糸

さくらは朝早く目を覚まし、まわりで起きている不思議なことが、その時 感じていた クロウ・リード の気配と関係があるのか考えていた。 しかし、ケロは、 悩み過ぎてさくらの元気がなくなるとまずいと言ってくれた。

休み時間に、利佳は手作りのクッキーをみんなに振る舞っている。 さくらたちが利佳のクッキーを食べている間、利佳は最近やっている縫い物を始める。 つくっているのはクマのぬいぐるみ。 知世はぬいぐるみの誕生日の話をする。 ぬいぐるみに初めてリボンを結んだ日、それがぬいぐるみの誕生日と言われている。 そして、自分の名前をつけてぬいぐるみを好きな人にプレゼントすれば、 その人と両想いになれると信じられている。

放課後、さくらと知世は手芸屋さんに行くことにするが、エリオルもついてくることに。 すると、嫉妬心むき出しの小狼も。 ちょうどその時、利佳はできたばかりのぬいぐるみを 寺田先生にあげていた。 先生はぬいぐるみを気に入り、利佳は幸せな気分になる。 一方、さくらは手芸屋さんでクマのぬいぐるみセットを買い、手作りのクマを雪兎に プレゼントしようと考えている。 また、エリオルは糸を買い、糸の使い道は いろいろあると言った。

その日の夜、さくらはぬいぐるみづくりに取りかかり、クマと言うよりはケロに 似てしまった不器用なできを嘆いている。 その瞬間、さくらとケロはクロウ・リードの 気配を感じる。 さくらは知世と小狼に連絡し、現場に向かう。 突然、小狼は何者かに操られ、もがきながらも剣を抜くと、さくらに斬りかかってきた。 剣をかわしながら、さくらは間違いなくクロウの気配を認識していた。 知世は小狼に飛びついて攻撃をやめさせようとするが、はじき飛ばされ、ビデオカメラが 地面にたたきつけられて壊れてしまう。 見えない力に反抗しながら、小狼は魔法の札を 取り出し、水の魔法を使う。 水滴が光を反射し、小狼が糸で操られていたことがわかったので、 さくらはソードのカードを変換し、糸を切る。事件が片づき、さくらは疲れと安心感で 眠りにつく。

そのころ、エリオルは暗い部屋の中でほくそ笑んでいる。 小狼を操っていたのは、実は、エリオルだった。 部屋の中には、 奈久留と、長の羽根を持った黒猫のような生物 スッピーが一緒にいる。 彼らはエリオルが作り上げた守護者、そして、エリオルはクロウ・リードの生まれ変わりだった。

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