Sakura's BME Clinic: The Sealed Card

あらすじ

突然の再会

さくらは捕まえたクロウカードをすべて、自分の魔力のカードさくらカードに変換してしまった。すでに、エリオルと小狼が友枝町を去って4ヶ月、もう不思議な事件も起こらなくなっている。しかし、知世はクリエイトのカードをつかって偽物の事件をでっち上げてさくらを撮影する機会を得ている。知世が撮影したビデオを、桜と知世が見ていると、小狼のことが気になって仕方ないさくらは、小狼が香港に帰る前にそうしたように、自分も面と向かって小狼に自分の気持ちを伝えたいと言った。

夏休みだが、さくらは友枝町の年間行事「なでしこ祭」の準備でとても忙しい毎日をおくっていた。さくらのクラスは友枝小学校を代表して劇を演じることになっている。学校に行く途中、街全体で祭りの準備が進んでいるのを見て、さくらは嬉しくなってしまう。劇の練習といえば、お姫様役のさくらには、まだうまくできない場面があるのだが、知世はますますお姫様らしくなっていると言ってさくらを励ます。学校から帰る途中、二人は、エリオルの家があった場所に新しく遊園地ができることを公園の掲示板に貼ってあるポスターで知る。一方、その遊園地では、時計塔に不思議な魔力がわき起こり、カールのかかった長髪の少女の姿をした精霊が悲しそうな表情で現れる。

翌日、さくらと知世が遊園地に立ち寄ると、さくらは不思議な気配を感じる。さくらは、まだ開園されていない遊園地に駆け込み、日本に来ていた小狼と苺鈴に出会う。二人の来日は、実は、知世と苺鈴がさくらに小狼へ告白できるチャンスを与えるためにしくんだことだった。苺鈴は、小狼との婚約を解消したことをさくらに念を押して伝えた。苺鈴と知世は気を利かせて、急用があるフリをして、小狼に夕食をごちそうしてあげるよう、さくらにお願いした。

さくらは小狼を家に招き入れた。紅茶を飲んでいる時、さくらは胸が高鳴るのを感じている。小狼に打ち明けようと決心すると、テーブルに置いたケーキの匂いをかぎつけたケロが現れて邪魔をする。相変わらず、小狼とケロは仲がよくない。夕食を食べ終わると、ケロは小狼とケンカを始めそうになり、さくらに注意されて、ケロは一日中ゲームをして疲れたと言って二階に上がって行く。台所に二人きりになり、さくらは告白しようとしたが... 桃矢が雪兎を連れて帰ってきた。

さくらは玄関から小狼を見送る。小狼が次の日に学校に行くと言ったので、さくらは嬉しくなった。一方、桃矢は友枝町に小狼が戻ってきたのを知って機嫌が悪い。さらに、灯りを消したさくらの部屋ではケロが寝ているが、その時、カードの束からチェンジのカードが飛び出して消える。

マイナスの魔力

翌朝、さくらのクラスは、突然の再会を喜び、小狼と苺鈴のまわりに集まった。日本を去ってから小狼の背が伸びたことを山崎は気づいた。一方、苺鈴は、さくらが前の晩に小狼に気持ちを打ち明けられなかったことを知世に確認した。しかし、知世は、さくらの告白の瞬間を撮影するチャンスがあると言って嬉しそうな表情を浮かべる。それを聞いた苺鈴は冷や汗。

学校から帰る途中で、苺鈴はさくらに、小狼に早く返事するようにいう意図で、劇のお姫様が鈍いという話をする。とても暑いので、さくらはジュースを飲みに行こうと言って坂を駆け上がるが、曲がり角にあるはずのポストが消えていたので、さくらは不審な顔をする。苺鈴は、単に撤去しただけでは、と返す。さくらが家に戻ると、また一日中ゲームをしていたケロは新記録を出し、スッピーに記録のことを教えたいから、エリオルに手紙を出さないかとさくらにお願いする。さくらは小狼と苺鈴のことを伝えたいと思い、その晩遅く、ベッドの中でさくらはエリオルに手紙を書く。さくらが顔を伏せて寝てしまうとすぐに、さくらカードが一枚、消えてしまった。

次の日、街を歩いていると、苺鈴と知世はさくらと小狼を残して走り去り、さくらにチャンスを与える。さくらが告白しようとすると、大きなウサギの着ぐるみが突然、二人の間に立ちふさがり、さくらは大声を上げる。雪兎がその場に走ってきて、さくらを驚かせた着ぐるみが桃矢であると教える。雪兎は、お詫びに桃矢と二人で、さくらたちにアイスクリームをおごった。木陰に座って、雪兎がさくらに一番好きな人ができたかと訊くと、さくらは「はい」と答える。雪兎は微笑んで、もう一人の自分も喜んでいると言ってくれた。

次の日、さくらはたちは公園にあった橋が消えてしまったのを発見する。そのことをケロに話すが、ケロは見当もつかないと言った。

さらに次の日、さくらが告白するチャンスを与えようとして、四人で遊園地に遊びに来た。みんなでジェットコースターやメリーゴーラウンドを楽しむ。さくらは大きなブランコに乗っている時、下で小狼が見ていることに気づき、さくらは頬を赤くする。次に、苺鈴はさくらと小狼に、観覧車を一緒に乗るようにしむける。同じゴンドラに乗り、さくらは話し始めることができなかったが、決心をした時、ヘンな気配を感じる。それと同時にカードが何枚か飛び出して消えてしまう。観覧車を降りてさくらと小狼は、その不思議な気配を追って走りだす。気配を追って、ミラーハウスに入り、鏡の壁の向こうに二人は、小さな女の子を見つけた。さくらはカードを使おうとすると、その少女はカードを無力化し、カードを奪った後、姿を消す。

家に帰って、さくらが遊園地で見た小さな少女のことをケロに話すと、さくらのケータイに電話がかかってきた。それはエリオルからの電話で、クロウ・リードの屋敷の下にもう一枚のクロウカードが封印されていたことを話した。そのカードはマイナスの魔力をもち、すべての物を無に返してしまう。つまり、ポストや橋が消えたのもそのカードのせい。それだけでなく、遊園地でさくらが見た少女は、そのカードの正体だった。しかも、そのカードは52枚のさくらカードをすべて合わせたのと同じくらいの力をもっている。さくらは、そのカードを封印し、他のカードと同じように、さくらカードに変換しなければならない。さらに、それを成功させるには、一番大切な想いを犠牲にしなければならない。だれの想いを差し出すかはカードが決めることであるが、ちょうどその時、最も強い魔力をもつ者の想いが選ばれるとエリオルは言った。

なでしこ祭

なでしこ祭の前日は雨となった。さくらのクラスは、劇を最初から通しで演じてみた。劇が終わると、寺田先生が拍手をして、すばらしいできばえだと褒めてくれた。帰る途中、さくらは、前の晩エリオルから聞いた封印されたカードについて小狼に話す。一番大切な想いを引き替えにしなければいけないことをさくらは深く気にしている。小狼は、他に方法がなければ仕方ないと言ったので、悲しみに打たれたさくらは雨の中に走りだしていく。街を走り、さくらは雪兎にぶつかった。雪兎は雨宿りのためにさくらをペンギン公園に連れて行った。雪兎は、さくらが心配事を話してくれやすいようにと、ユエに変身する。心配事を聞き、クロウ・リードは世界を壊すためだけのものは創らないと言った。きっと他にも方法があり、さくらならそれを見つけられると言って、ユエはさくらを励ます。

なでしこ祭の日、前の人はすっかり変わり、空は晴れわたっている。さくらが前の晩に眠れなくて顔色が悪いので、知世たちはさくらを心配している。しかし、その時、運動場に封印されたカードが現れた。さくらは他の人たちを眠らせるためにスリープを使うが、それを含めて何枚かカードを奪われてしまった。封印されたカードが消えると、山崎は肩を激しくぶつけ、劇に出ることができなくなった。山崎は、劇を中止させないで、変わりに小狼を主役にするように頼んだ。

街に設置された屋外ステージで知世が歌っている時、さくらのクラスは劇の準備をしていた。小狼は王子様の衣装を着て、苺鈴は侍女の姿をしている。さくらは、控え室で一人、お姫様の衣装を着て鏡に向かっている。知世は、歌を終えると控え室に走ってきた。

さくらのクラスの劇は仮面舞踏会から始まる。お姫様役のさくらは侍女に連れられて、ステージに入ってくる。姫は見知らぬ人と踊る気持ちになれず、隣国との終わりなき戦争の引き金になっている魔法の石のことを案じている。そんな石が人の手の届かないところに消えてしまえばいいのに、というさくらの考えに賛成する青年が現れる。それは王子様役の小狼だった。二人はステージの上でダンスを始める。しばらくして、劇は王子様の告白のシーンに移る。姫が王子に、自分のすべてを忘れるように言って、立ち去ろうとして立ち上がる。その時、事件が起きた。数枚のさくらカードが飛んでいき、スポットライトが破裂して、周囲のすべての人や物が消えていく。その場に残ったのは、さくら、小狼、知世、苺鈴、ケルベロス、ユエだけだった。知世は、これまで自分が創ったコスチュームを来たさくらが必ず、笑いを浮かべて無事に戻ってきたことから縁起をかついで、さくらと小狼に自分が創ったコスチュームを来てくれるようにお願いする。さくらと小狼は知世が差し出したコスチュームを快く着ることにした。

大切な想い

街は死んだように静まりかえっている。人は消え、建物は部分的に杓子ですくったように消されていた。さくらたちがビルの屋上にいると、次の攻撃が襲ってきた。さくらカードが数枚、突然、飛び去った。さくらはウィンディを使って、飛び去るカードを吹き戻そうとするが、封印されたカードはその魔力を無力化し、ウィンディと一緒にカードを奪う。続いて、ものを消し去る球面が連続で撃ちつけられ、知世と苺鈴は消えてしまった。不幸中の幸い、カードが飛んでいった方向から、封印されたカードが遊園地にいることがわかった。

さくらと小狼はケルベロスの背に乗り、ユエとともに空を飛ぶ。遊園地の中央に着地すると、メリーゴーラウンドの馬が襲ってきた。ユエがフォースフィールドを張ってブロックすると、馬は壊れて動かなくなった。言うまでもなく、それはカードの仕業。海賊船がさくらめがけて落ちてくると、さくらは飛び退いて、ジェットコースターのレールの上に降り立つ。休む間もなく、ジャンプのカードが取られ、ジェットコースターがスロープを下って襲ってきた。どんなに早く逃げても、コースターはすぐにさくらに追いついてきた。さくらはタイムを使って時間を止める。すると、封印されたカードの姿がレールの頂上付近にいるのが見え、さくらは、なぜそんなことをするのかをカードに訊いた。そのカードは答えることもなく、タイムのカードを奪い、ジェットコースターに跳ね飛ばされ、さくらはレールから落下する。運良く、ケルベロスが空中でさくらを受け止める。ユエとケルベロスは封印されたカードに向かっていくが、ダメージを与えることもできず、代わりに自分たちが黒い球面の中に消えていった。

クロウ・リードが創ったものは封印されたカードには効かない。しかし、自分の魔力がクロウ・リードのものではないので、なんとかなるかも、と思った小狼は、封印されたカードを追って観覧車を駆け上り、頂上に上りつめた。いまや、封印されたカードが載ったゴンドラを目の前にし、小狼はお札を使って魔力を解放する。カードはフォースフィールドを張るが、小狼の魔法は封印されたカードに苦痛を与える。攻撃に悩まされ、カードは魔力を爆発させ、小狼を吹き飛ばす。しかし、さくらがフライを使って助けに駆けつける前に小狼は姿を消してしまった。

ショックを受けながらも、さくらは封印されたカードが逃げるのを見つけ、フルスピードでその後を追った。カードを追って時計塔に入ると、ものを消し去る球が執拗に発射され、さくらは上を目指しながら、ジグザグに攻撃をよける。ついに、フライも奪われ、さくらは振り子の頭の上に落下する。間もなく、振り子のアームも消され、さくらは、振り子が地面に激突する前に、かろうじて壁の上の階段に飛び移った。封印されたカードはさくらの目の前に降りてきた。さくらが封印すると言うと、動揺したカードはものを消し去る球を2発撃ち、さくらはそれをよけ、階段と壁に穴が開いてしまう。カードはさくらに、友達との間を邪魔しないでと言った。さくらはそれを否定し、それは友達ではなく、単にカードを取り上げただけだと声をあげる。その瞬間、さくらカードが封印されたカードから飛び出す。裏切られたと思い、封印されたカードはその場に泣き崩れるが、さくらカードはさくらが近づいていけるように橋をわたす。つまり、さくらカードたちは、封印されたカードに来てほしいと思っている。さくらは封印されたカードに言い聞かせ、封印して、さくらカードに変換する。カード変換の瞬間、階段に開いた穴の向こうに立っている小狼を黒い球面が包み込む。それは、さくらが魔力を使い果たし、小狼が最も強い魔力をもつ人となったため、小狼の一番大切な気持ちが消えてなくなることを意味する。さくらが悲嘆の声をあげると、小狼が香港に帰った日にさくらが創ったなのないカードが現れ、封印されたカードと融合し、希望のカードに変わった。小狼が穴の向こうに立っているのに気づき、さくらは気分の気持ちを打ち明ける。さくらが泣き出しそうになると、小狼は「さくらは俺のものだ」と答えた。カード封印と引き替えになったものは何もなかった。間もなく、日の出を迎え、すべての物がもとに戻っていく。さくらは助走をつけ、階段に開いた穴の向こうにいる小狼のもとに跳躍をし、「大好き」と歓喜の声をあげる。

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